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興味関心連動型広告「インタレストマッチ」の最適化アプローチ

2008年9月中旬、ヤフーより興味関心連動型広告「インタレストマッチ」のサービスが開始された。月間約500億 PV と圧倒的な集客力を誇るヤフーの主要サービスを中心に配信される。広告主によっては、大きな期待や効率性の懸念など、様々な思いをインタレストマッチに持たれているのではないだろうか。

インタレストマッチは、「入札キーワード」と「今閲覧しているページ内コンテンツ」「過去に閲覧したページ内コンテンツ」「直近の検索キーワード」との適合性および「入札価格」「広告の品質」などを総合的に判断し、掲載する広告を決定するというもので、ユーザーの地域・年齢・性別などのデモグラフィック情報と、曜日・時間帯といった時間軸のターゲティングも可能である。

マッチング技術としては、現在オーバーチュアより提供されているコンテンツ連動型広告のコンテンツマッチに「過去に閲覧したページ」「直近の検索キーワード」がプラスアルファされたと考えればイメージしやすい。従来よりマッチング精度が向上し、よりユーザーにとって価値のある広告が表示されることで、今までコンテンツマッチを運用し、ユーザーとのマッチング精度向上に期待していた広告主にとっては朗報と言えよう。

ここで再確認しておきたい点がある。実際、インターネットユーザーが検索に割いている時間は1割にも満たないと言われており、9割以上の大半の時間はコンテンツページに滞在しているというデータがある。

いかにコンテンツページの閲覧で、購買意欲の高まったユーザーを誘導する動線設計・検証アプローチを実践していくかが重要となってくる。ニュース記事などのコンテンツ情報のすぐ真下に広告枠があるケースが多く、コンテンツ内容によっては、モチベーションの向上を経て、誘導する動線が期待できる。

これから実施される方、またはすでに実施している方へ、より効果的にインタレストマッチを運用していくにあたり、今後取り組むべきアプローチと考慮すべきポイントを下記に挙げてみたい。

1. レポーティングを意識したキャンペーン構成

今回の大きな特徴の一つである、性別・年齢などのデモグラフィック情報によるターゲティング設定が可能であり、出稿する商材・サービスが、どの性別・どの年齢層に共感を得ているのかを分析・検証することは、今後のインターネットマーケティング活動での貴重なデータとなってくる。

しかしながら、性別・年齢などの属性別レポートがアカウント単位のみで取得可能なため、検証作業を継続的に行う際に、あらかじめクロス集計が可能なキャンペーン設定が重要になってくる。例えば、ある商材において、男女比の比率が想定していた以上に女性が高かった場合に、女性へのモチベーション強化・購買促進を目的としたコンテンツを用意するなど、ユーザー属性ごとに広告文作成やランディングページの製作を促進するのも成功の鍵と言える。

2. 仮設検証サイクルの推進

検索連動型広告と同様に、インタレストマッチも PDCA サイクルを構築する事が重要である。上記の通り、細分化した設定を行った上で、属性別レポート・時間帯別レポート等の分析に基づき、ターゲット・商材毎の効率性を見極め、CPC の見直し・配信調整などの実施や改善策の検討を行いたい。

また、注力する商材などにおいては、広告文のトライアルやランディングページ施策の実施を行い、よりコンテンツにマッチした訴求内容の仮説検証サイクルをお薦めしたい。

最後に、約数週間の期間ではあるが、データの傾向を確認しておきたい。ターゲット設定については、性別・年齢などの属性を設定したキャンペーンと、設定していないキャンペーンでは、Yahoo!ID でログインしているユーザーとログインしていないユーザー両方へ配信されるため、属性設定していないキャンペーンの方が配信量が多い傾向が見受けられる。

広告掲載状況としては、徐々に掲載される枠や出稿する広告主が増えてきており、掲載されている広告の傾向がいくつか見受けられる。当然ではあるが、 Yahoo! 不動産では、不動産関連の広告が目立つなど、「今閲覧しているページ」としてマッチングされる重み付けも、一定量あるようだ。

広告配信状況は、掛け合わせキーワードよりも、1語キーワードの方が配信されている量が多い傾向が強い。いまだ Yahoo! プロパティ以外のオーバーチュア提携パートナや個人サイトにて配信されておらず、2語以上の掛け合わせキーワードとマッチングしたコンテンツページが少ないことが原因の一つと考えられる。また、Yahoo! 知恵袋にいまだ広告の枠が無いなど、配信枠の順次展開に伴い、配信量も増加すると考えられるので、定期的なレポート確認が必要である。

執筆:株式会社アイレップ インターネットマーケティング事業部 リスティングサービスグループ 長谷場洋介

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