リスティング広告の入札管理プラットフォームを開発・販売する米Marin Softwareは2010年10月26日、米Googleが9月に開始したGoogle Instant(グーグル・インスタント検索)が検索広告に与えた影響についての調査結果を発表した。同社の調査は、Google Instantが検索利用者、広告主、そしてGoogleの双方にとって好結果をもたらしたと結論付けている。
Google Instantは今年9月にリリースされた。利用者が検索窓に入力しているキーワードを予測して、候補ワードを表示すると共に自動的に検索結果ページも切り替える機能で、検索業界ではSEOやリスティング広告は無論、検索行動に大きな影響があるとの観測があった。今回、Marin SoftwareはGoogle Instantが検索広告に与えた影響を定量化すること、そして検索マーケティング担当者に、Instantを念頭に何をすべきかを明らかにすることを目的として本調査を実施した。
調査はMarin Softwareプラットフォームを利用する顧客、合算して年間13億ドル(約1,085億円)、管理キーワード300万の検索広告キャンペーンの情報を分析した。集計期間はGoogle Instant導入前後の各2週間(合計4週間)。なお、シーズナリティや拡張キーワードなど結果に影響する変数を排除するように配慮されている。
調査結果の要点は以下に示す3点。第1に、検索広告の総インプレッション数は9%以上増加したのに対して、クリック数は5%以上増加していた。検索利用者の反応は好意的で、Google Instant導入により、利用者は目的に適合した広告をクリックしていることがうかがえる。
第2に、クリック数は増加しているが広告主の消化コストは2%未満の上昇にとどまっている。CPCは3%以上低下していることから、1クリックあたりの価値が高まっているといえ、広告主はGoogle Instantの恩恵を受けているといえよう。
第3に、上記結果をキーワードの種類別に深く分析したところ、Google Instantはインプレッション数とコンバージョン数の増加に寄与しているが、より短いクエリ(1~3ワード)の方が、長いクエリ(4ワード以上)より高いパフォーマンスを示している。つまり、Google Instantの予測機能により検索利用者のクエリが影響され、より一般的な、普遍的なキーワードの検索を促している可能性がある。
ワード数が多いクエリのCPCが大きく低下しているのは、品質スコアや掲載順位といった変更の影響によるものではなく、統計上の異常値の可能性もあるという。5ワードを除外した全クエリの平均CPCは2.57%の低下に対して、5ワードクエリのみの平均CPCは12.6%も低下するためだ。
ちなみに、オーガニック検索への影響は米Conductorが実施しているので、あわせて参照してほしい。
Marin Software
[お詫び] 本記事で述べている「コンバージョン」は、クリック数の誤りでした。後程、訂正させていただきます (2010/11/19 22:20)