世の中に存在する検索エンジンは Google や Yahoo!JAPAN だけではない。ズバケンネットとは何者か?
ズバケンネット。SEOや検索エンジン情報サイトでほとんど取り扱われていないズバケンネット(Zubaken.net)を本日は取り上げます。
米国で急成長をとげた米 Overture をはじめとする広告型検索サービスが、2002年になりようやく日本市場でも登場しました。
あまり知られていないことですが、Pay for Placement (PFP)型モデルを採用した検索エンジンで、日本で最初にサービスインをしたのは株式会社ファンコミュニケーションズが提供する「ズバケンネット」(Zubaken.net)なのです。2002年7月1日でした。
ちなみに、ズバケンネットとは、”ズバリ検索ネット”の略です。
ズバケンネットは商用サイト専門検索サービスです。これは、検索結果に商用サイト以外のサイトを一切掲載しないことにより、商品の購入を検討しているユーザーがショップサイトだけを検索でき、ユーザーの「(お店を)探す時間の短縮」というコンセプトから開設されました。
ズバケンネットでの検索結果の表示順位は、オーバーチュアのような入札額のみや、アドワーズ広告のクリック率と入札額の積、あるいは Looksmart やJWord の料金体系とは異なり、独自の「4Pロジック」と呼ばれる手法によって決定されます。
4Pロジックは、"Price&Pride"、"Promotion"、"Praise"、"Popularity" という4つの指標から構成されており、それぞれをポイント化した上でポイントの高い順に検索結果上にサイトを表示する方式をとっています(※4つの指標についての説明は下欄参照)。
さらに、ズバケンネットはポータルサイトとの提携形態においても一般的な広告型検索サービス会社とは異なる戦略を採っています。一般に広告型検索サービスは、トラフィックの多いポータルサイトと提携をして、そこで提供されている検索サービスの検索結果画面上に自社の広告主サイトを掲載する手法をとります。つまり、提携先で既に提供されている検索システムに広告主のWebサイトという付加情報を加える形態をとるのです。一方ズバケンネットは提携先サイトに対して「商用検索サービス」をそれ自体で完結したシステムとして提供をしています。つまり、提携先が既に何らかの検索サービスを保有していても、それとは別の「ショッピングサーチ」というシステム全体を与えるわけです。これは Google や Inktomi といった一般的な検索会社がポータルサイトに対してシステムを売り込むのと同じ形態です。
このように、ズバケンネットはまだ広告型検索という市場がなかった日本市場に、最初から独特の戦略をとって市場開拓に乗り出したわけです。
さて、この結果ズバケンネットはどうなったか -。
ズバケンネットの最大の欠点は、そのメディア力の弱さにあります。ズバケン・ネットが提携したポータルサイトのメディア力が弱いため、トラフィックの絶対量が少ないという問題もあります。日本で後発でサービス開始した Google アドワーズ やオーバーチュアが日本の主要ポータルサイトである Yahoo!JAPAN、infoseek, goo, Lycos, MSN と提携した結果得られる、広告主に対するトラフィック量と比較すると残念ながら見劣りします。
一応フレッシュアイという検索系のポータルサイトとの提携には成功したものの、先に述べたとおりズバケンネットはショッピング検索というそれ自体で完結したシステム全体を提携先に与える形態をとっています。つまりフレッシュアイ内にフレッシュアイが従来採用していた検索エンジンとズバケンネットが提供する別の検索システムが混在しています。ところでフレッシュアイはトップページ画面中央には従来の検索システムを、ズバケンネットの検索システムは深い階層におかれているため、ほとんどトラフィックを誘導できません。
以上の点から、現在のズバケン・ネットは消費者の視点からはともかく、少なくとも料金を支払う広告主側から見たメリットはありません。ここ数ヶ月はトラフィック量を増やそうと、検索ボックスの設置キャンペーンなどを始めており、トラフィック量を増加するための対策を行っているようです。今後に期待をしましょう。
# ズバケン・ネット 4Pロジック
4Pロジックは次の4つの指標をポイント化します。
Price&Pride
広告主が1クリックに対して支払う広告料金を元にポイント化します
Promotion
広告主がサイト上で実施している消費者向けのキャンペーン規模をポイント化します。キャンペーン規模(総金額)が高いほど高ポイントがもらえるようです。
Praise
ズバケン・ネット編集者がサイトを評価し、その評価点をポイント化します
Popularity
ズバケン・ネット内で検索された個々のキーワードの検索結果の総クリック数に対する、広告主サイトのクリックシェアをポイント化します。多くのユーザーにクリックされる広告は、キーワードとそのサイトが関連性が高い(興味を引くサイト)だということです。クリックされる人気サイトには高いポイントが与えられます
ズバケンネット