SEMリサーチ

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Google 支配が及ぼす危険性

あるECショップがある。売上げの7割近くは検索エンジン経由で訪れた訪問客からうまれたものだ。そして、その検索エンジントラフィックのおよそ8割は Google だ。商品キーワードで上位にずっと出ているから毎月売上げも安定している。商売としては順調だ。このまま Google に掲載され続ければ

Google があなたのビジネスを左右する

「SEO をする」といったら、あなたはどの検索エンジンに対して最適化したいだろうか?私が前職でSEOスペシャリストとして色々な企業の話を聞いていた時、担当者がSEOで関心があるのは Google だ。「とにかく Google で上位表示したい」「Google で全然表示されないので何とかしてほしい」と。皆さんの大部分も(アルゴリズム)検索エンジン対策 = Google だとお考えだと思う。実際 Google + Yahoo! 経由のトラフィックが大半を占めている今、SEO対策をするなら Google に最も最適化すればいいと考えるのは当然だ。MSN はともかく、「goo や infoseek だけ」に特化したSEOを望む人は希だ。

言い換えれば、Google が生み出す検索エンジントラフィックが日本市場を支配していることの裏返しでもある。Google 検索エンジンが実質的にトラフィックを操作し、Google においてあなたのWebサイトがキーワード毎にどこに表示されるか、それが競合Webサイトよりも上なのか下なのか、はたまた全く表示されないのか、それによってビジネスの成否が大きく左右される。あなたの顧客がWebサイトまで訪れる、その道筋は Google によって決定される。あなたの販売戦略は Google に規定されているといっても過言ではない。

Google が支配する世界の危険性

しかし、検索エンジントラフィックという観点からこの現状を捉えた時、あなたは Google に依存することに危険を感じたことはないだろうか?Google によってあなたのWebサイトに訪れる訪問者が決定されているなら、突然 Google のインデックスからWebサイトが消えたら一度にこの訪問者を失ってしまうことになるのだ。商用サイトであればこのトラフィック喪失は非常に大きな影響を与えてしまう。先述したECサイトの例であれば、一度に7割の売上げを失ってしまうことになるのだ。トラフィックの源泉をたった1つのソース - Google というサーチエンジン - に依存するということは、このようなリスクも抱え込むことになる。

ここで「いま Google に掲載されているんだから私のサイトは消えることはない」「私は小手先の技やスパムまがいのことは一切していないから、消されることはないよ」と高を括っている方がいるかもしれない - しかし残念ながらそれは間違いだ。あなたが Google に嫌われるような行為を一切していなくてもある日突然インデックスから消滅してしまうことはありうるのだ。今の時点で Google に登録されていても、明日もあなたのWebがGoogleに掲載されているという保証はどこにもない。

例えば偶然クローラーが訪れた時にあなたのWebサーバーが落ちていた/反応が遅かった為にインデックスされない場合。あるいは正常にクロールされたのにインデックス登録プロセスで Google のバグやシステム障害による掲載されなかった場合。Google が大幅にアルゴリズムを変更した結果、あなたのサイトの順位がトラフィックを誘導できないほど落ち込んだ時。Google はあなたの - 特定の - ページを登録することを「一切保証していない」のだ。従ってGoogle がトラフィック支配している世界の危険性を認識していなければならない。実際、Google トラフィックに依存していたeコマースサイトが何らかの理由で Google から消えたために一気に売上げが落ちてしまうケースは少なくない。

不慮の事故に限らず、例えばある日 Yahoo!JAPAN が検索エンジンを Google から別の代替検索エンジンに切り替えた時もトラフィックが減少する可能性を秘めているのだ。Yahoo!JAPAN がこのまま Google を採用し続けるか、それともある時点で検索エンジンを切り替えるかどうか、それはわからない。

ちなみに「不慮の事故」の場合、しばらくすれば再び Google に掲載される。つまり次回のクローラーによる巡回とそれのインデックス(=フルインデックス更新)への反映だ。しかしこのプロセスには3〜4週間ほどかかる(※ freshbot による毎日更新があるだろう?とお考えかもしれないが、こういった不慮の事故による消滅の場合は一度削除されているので月1回のフルインデックス更新を待たなければいけない)。最短でも1ヶ月は大ダメージを受けることになる。

Google 以外からの顧客誘導も視野に入れよう

ネット上には様々なプロモーション手段がある。バナー広告やアフィリエイト、メルマガ広告、キーワードターゲット、コンテンツターゲット、etc... ネット企業の多くは新しい広告商品に目がいきがちで、従来の広告を軽視、あるいは利用しなくなる事がある。例えば今は SEO や Overture/アドワーズに注目が集まっているが、この状況を「アフィリエイトもバナー広告もオプトインメールももう終わり。SEO[しかない]」と勝手な判断をする方が少なくない。しかし、企業の競争環境にある市場、条件、ポジショニング、ターゲットや商品の特性に応じて適宜組み合わせを行っていくことが望ましいはずだ。

Google は万能ではない。誰が悪いわけでもなくあなたのWebサイトがデータベースから消えることはある。そんな時の備えをしておくことは必要だ。手軽な例でいえば、とりあえず(今は利用しなくても)オーバーチュアと Googleアドワーズのアカウントだけでも作成しておけば、万が一の場合に即座にトラフィック誘導を SEO から PPC に切り替える事ができる。Google だけでなく MSN(=Inktomi+LookSmart)対策をしておけば、Googleトラフィックを失った場合でもダメージを減少できる。

特に今 Google に恩恵を受けているeコマースサイトは、「もし〜」の自体の備えをしておくことだ。最近は企業のリスクマネジメントの必要性が叫ばれているがそれはこの検索トラフィックについても同様なのだ。企業であればリスクマネジメントで取り扱う1つの項目として対応策を考えておくべきだ。

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