前回に引き続き、コンテンツ連動型広告の運用をはじめる上で必ず抑えておきたい考え方について説明する。今回は、コンテンツ連動型広告の運用における具体的なポイントを3つ挙げよう。
1. 「興味・関心」をターゲティングできる広告である
検索連動広告が優れたネット広告といわれるのは、それが「検索キーワードを利用して、消費者の興味・関心に直接ターゲティングできる機能」を有するからである。年齢や性別、居住地域といったデモグラフィックではなく、「欲しい!」と思うその瞬間に適合する広告を表示させることが初めて実現できたからだ。コンテンツ連動型広告も同様に、消費者の興味・関心にターゲティングできる広告であることを再認識してほしい。検索連動広告との違いは、ターゲティングする場所が前者はサーチ(検索サイト上)であるのに対して後者はコンテンツ(Webページ)であるという掲載範囲だけだ。
2. 適合させる基準は「コンテンツ」ではなく「興味・関心」である
”コンテンツ連動型広告”はその名称や仕組みについて「Webページのコンテンツの文脈を解析して関連する広告を表示~」などと説明されることが多い。技術的にはその通りなのだが広告主がその通りに連動させる相手を「コンテンツ」にしてしまうのは運用上の誤りだ。つまり、新型デジカメの宣伝をするために広告掲載先をキーワードで指定する時に、「デジカメを探すユーザが検索時に使用する言葉」や「デジカメに関連する言葉」といったように検索時のキーワードや広告対象商品の関連キーワードを選択するという手続きは間違っているので注意して欲しい。いくら「デジカメ」に関連するコンテンツだからといって「デジタルカメラの歴史」、あるいは「D社のデジタルカメラがリコールされた」といったコンテンツ上に広告が掲載されて、どれだけのユーザが広告に関心を持ちうるだろうか。
検索連動広告が消費者の興味・関心を表現したキーワードそのものを直接操作可能なのに対して、コンテンツ連動型広告はその技術的仕組み上、”キーワード”でコンテンツを”操作する”必要があるが、あくまで対象は「消費者の興味・関心」だ。つまり、適合させる基準は
(1) 閲覧を通じて消費者が興味・関心を抱く可能性があるコンテンツ
(2) 興味・関心を持つユーザが訪問する割合がきわめて高いコンテンツ
の2軸から該当するコンテンツを想起し、そうしたコンテンツに広告が掲載されるために必要なキーワードを、コンテンツ連動型広告の技術的仕組みや特性を考慮しつつ選択しなければいけない。適合させる相手はあくまで「興味・関心」であり、掲載サイトを選定するためのキーワードはコントロールするための媒体であることを認識しなければならない。
3. ターゲット適合率を常に意識する
ターゲットとすべきユーザが滞在するWebサイトのみに確実に広告を掲載したければサイトターゲット広告(Google)の利用を検討したいところだが、無数のWebコンテンツの中から1つずつ手作業で抽出するのは非現実的で、実運用上はキーワードターゲットは必須である。しかしコンテンツ連動型広告は、ターゲットとすべきユーザが滞在するWebサイトを、キーワード設定を通じて絞り込むという仕組み故に、必然的にターゲットが存在し得ないコンテンツ(つまり、興味・関心が生まれ得ないコンテンツ、またはそれを持たないユーザの訪問が圧倒的多数を占めるコンテンツ)がどうしても含まれてしまう。従って運用する上では広告掲載ネットワークの「ターゲット適合率」、つまり現在の広告出稿範囲が適切にターゲットユーザを含有しているかどうかを念頭におかなければならない。例えばインプレッション数に対してクリック率が著しく低い場合はターゲット適合率が低い可能性がある。
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コンテンツ連動型広告はその運用上のテクニックや考え方に関する情報が検索連動広告ほど流布していないため、基本事項を理解していない、あるいは不適当な考え方のもとで運用されているケースが少なくない。今一度、コンテンツ連動型広告のメリットやその特性について学習し、いまの運用がロジックに基づいているかどうかを確認してほしい。
[セミログ] コンテンツ連動型広告の考え方 前編 :: SEM R
(執筆 株式会社アイレップ SEM総合研究所 所長 渡辺隆広)