SEMリサーチ

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反論:「SEO業者」と「電解還元水の販売員」の共通点

中島氏のエントリー「SEO業者」と「電解還元水の販売員」の共通点」がおもしろかったので反論してみます。

今回のGoogleによる措置がSEO業者が提供するサービスには影響しない」と主張したい気持ちは分かるが、あまり説得力がない。問題の本質は「何を有料リンクと呼ぶか」という話ではなく、そもそもGoogleが「SEO業者に金を払うだけでサーチ結果の上位に自分のページを人為的に持って行くこと」を全力で阻止しようとしている点にある。

(1. 文章全体を見ると、そもそも『私は今回のGoogleの措置を何とも思っていない』という前提で反論をされているのかもしれないが、私はそういう立場ではない。今回Googleが標的とした有料リンク(直リンク型のテキスト広告)をメインに使用しているSEO業者には影響ある。直接的なランキングの変動とかなくても、ビジネスモデルそのものに相当なインパクトがある。)

2. 検索エンジンが全力で阻止しようとしているのは「不正に順位を上げようとするスパマーの行為」であって、ガイドラインに従っている限りにおいて検索エンジンにウェブサイトが認識・理解させやすくする行為を阻止しようとしているのではない。

3. GoogleもYahoo!も基本的に、「ウェブサイトの本来の価値を見せること」であればSEOに特別反対しているわけではない(cf. Google は SEO についてどう考えているか?

問題の本質は「何を有料リンクと呼ぶか」という話ではなく

ここは正直、どうでもいいい話だし、問題の本質として述べていない。私がここであえて定義の話をしたのは、当該エントリーで話題にしているリンクが何を指すのかを明らかにしたいため。ちょっと前に某社のアクセスカウンター埋め込み型リンクが話題になった時、それを有料リンクと表現しているブログが散見されたため、それとごっちゃにしてほしくなかったという意味で書いている。また、こういう説明をしておかないと、例えば「私、SEO会社に依頼して外部リンク対策(正当なもの、スパムなもの限らず)してもらってるのですが、こういうの有料リンクになっちゃうんですか?」という、質問がきてしまうのですよ。だから、スパムリンクはだめ、という点で中島氏に同意している。

ページランクがサーチ結果に大きく影響を与えることはLarry Pageの論文を読んだことがなくても、この業界にいる人はほとんど誰でも知っている。それにも関わらず、「今回のGoogleの措置はSEO業者をターゲットにしたものではない」「PageRankが上がろうが下がろうがどうでもいいと考えるSEOのエキスパートは私を含めて少なくない」

1. 中島氏がお話されているのは、「GoogleのPageRankシステム」、私がここで話しているのは「ツールバー上に表示されているPageRankデータ」の話。指摘する論点がずれてる。

2. ツールバー上のデータは意味がない。過去のある時点のスナップショットを表示しているだけであり、最新のデータはすでに過去のランキングで反映されているから(参照記事忘れちゃったので省略)

3. 内部のシステムは重要だよ。

SEO業種とは本質的にGoogleとの「いたちごっこビジネス」であり、Googleよりも常に一歩先に行くことにより、技術革新の狭間で価値を生み出そうとするビジネスである。もしそこで本当に価値を生み出せると思うのであれば、(以下、略)

SEOの本質とは、ウェブページが何について記述されているか、ウェブサイトのアーキテクチャがどのようになっているのか、ウェブ上での重要度がどの程度のものなのかを、適切に検索エンジン(=機械)に伝えようとすることであり、それを通じて(間接的に)「ユーザーに快適な検索体験を提供する」という検索会社と共通の目的を達成しようとしているもの。それは同時に、ユーザーの利益になる質の高いコンテンツを提供する努力は放棄してはならないことも意味する。従って、検索技術が不完全である限り、SEOは検索ユーザーに貢献する機会が存在し続ける。

コンテンツが絶対大事、その上で、それを検索を通じて人々に伝える・見つけやすくする技術も必要。コンテンツもSEOもユーザビリティも全部大事。

(注:以上が私の意見であるが、世の中の多くの業者は中島氏が指摘するフレームワークに基づいて行動していることは認める。ただ、そういう業者ばかりではないことも知ってほしい)

SEO業種とは本質的にGoogleとの「いたちごっこビジネス」であり

そのゆく果ては、検索エンジンスパマー。だから、そういう思考のフレームワークはSEOに持ち込まないのが大切。

なお、最後に

「今回のGoogleによる措置がSEO業者が提供するサービスには影響しない」と主張したい気持ちは分かるが、あまり説得力がない。

これは私の文章の書き方に問題があるんだと思う。

といろいろ書きましたが、そもそも私が有料リンク & Google PageRank減点ペナルティを巡るFAQのエントリーを書いたのは、今回の話題が全然理解できない、わからないという方々に理解していただくのが目的でした。しかし今回の中島氏の記事を見て、あの文章では全然ダメ、伝わらないということがよく理解できました。次回以降、気をつけて文章を書きたいと思います。

[追記] 誤解を生む原因は私のCNETブログの文章が曖昧だからですね、やはり。

『Googleツールバー上のPageRankが上がっても下がっても特に気にする専門家はいない。同様に内部のPageRankの値がどうこうと気にする人もいない。別にPageRankだけで順位は決まっていないし、コンテンツが大事だから。』だけど『Googleが有料リンクという、最近の不正ランキング操作の主流である手法にようやくメスを入れ始めたことは大きな事件だ』し、中島氏の指摘するようにこれはGoogleの使命として「今後もこの手の改良を続けてSEO業者やスパマーと戦い続け」くでしょう。だから、不正な方法で順位上昇を追求しているサイト運営者やSEO業者は今後苦しくなっていく。 これで伝わるでしょうか。

[追記2] 追加の補足説明を別エントリーに

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