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テキストリンク広告はSEOに効果的か?

今回は、テキストリンク広告について解説していきたいが、その前に「テキストリンク広告」とは何かについて定義する。

テキストリンク広告とは

最近の検索エンジンはWebサイトの重要度を判断する基準としてリンクに着目しているが、同時にアンカーテキストとリンク先ページの関連性も重視する。通常、Webサイト運営者はアンカーテキストにリンク先ページの内容を示すテキストを入れる可能性が高いので、アンカーテキストに「アイレップ」、リンク先を www.irep.co.jpとした時、検索エンジンは www.irep.co.jp というページと「アイレップ」という単語を結びつける。このアンカーテキストとリンク先ページの重み付けの結果が顕著に検索結果に現れるのがGoogleで、一昔前ほどの影響力はないが現在でもキーワードとWebページの関連性(レリバンシー)を判断する際の重要な指標として用いられている。

この、アンカーテキストとリンク先ページの結びつきを人工的に強化するためのSEO施策の1つがテキストリンク広告と呼ばれるものだ。

要はメディアサイトが販売する広告枠は通常、インプレッションやクリック数などをカウントするためにアドサーバ(効果測定用のサーバ)を経由させるためにURLが動的になる(例えば http://○○○/ADCLICK/CID=00002ec56b34520a00000000/SITE=IREP.FRONT/AREA=TOPTEXT/SIZE=TEXT/acc_random=70026111/pageid=77504163 )ものだが、SEOのために直リンク、つまりアドサーバを経由せず、リンク先に直接広告主のサイト(URL)を指定する。

いわゆる「直リンク」だが、これを多くのニュースサイトやコミュニティサイトの広告枠に貼り付ければ、簡単にそうした(大抵は検索エンジンからの評価も高い)サイトから多くのリンクを集めることが可能になり、アンカーテキストで指定したキーワードでの検索上位表示が非常に簡単になる。

つまり、テキストリンク広告は簡単にいってしまえば「お金を払ってリンクを買う」ということだ。

テキストリンク広告は英語圏では「Paid Link」と呼ぶが、日本国内で有料リンクと呼ぶと意味を勘違いする人が多数いる模様のため、本文では「テキストリンク広告」と呼ぶ。

Yahoo!、Googleとも「スパム」と判断するテキストリンク広告

このテキストリンク広告、実は結構、大手の企業にも利用されているものだ。ニュースサイトやコミュニティサイト、あるいは無料ホームページサービスなどの広告枠を見ると、ただキーワードが延々と並んでいる広告があるのだが、こうしたものは大抵、SEOの外部リンク獲得を狙ったテキストリンク広告だ。

こうしたテキストリンク広告、読者の中には「お金を払ってリンクを獲得するなんてずるい」とか「結局SEO目的のためだけのリンクだから、スパムなのでは?」と考える方がいらっしゃるかも知れない。

実際、GoogleやYahoo!はこうした、お金を支払ってリンクを購入することに対して「NO」とSES※1などの講演で明言しているし、Googleはこうした「リンクをお金でやり取りしているサイト」(リンクブローカーと呼ぶ)のリンク評価を無効にする(PageRankをゼロにする)、リンクを販売しているサイトからのリンク評価をゼロにする(見かけ上のPageRankはいくらか表示されるが、実際にはリンク先ページにリンク評価が与えられない、つまり、問題とされたWebサイトからのリンクはゼロとみなす)などの対策を施している。

また、アルゴリズムでこうした「SEO目的のためにリンクを販売しているサイト」を特定することも可能であるとの説明もしている。あるいは、こうしたテキストリンク広告を販売する際にはアンカータグに rel="nofollow" を挿入する、つまり検索エンジンがリンクを評価しないためのコードを埋め込むように呼びかけたりもしている。このように、検索エンジンはSEO目的のためのテキストリンク広告は決して歓迎していないのが実情なのだ。

ただし、だからといってテキストリンク広告が全くダメかというとそういうわけでもない。要は、「SEOのため"だけ"のテキストリンク広告」が問題となるのであり、その広告自体から有意なトラフィックを生み出せる、純粋な広告としての役割を果たしているのであれば問題はないという意見も多数を占める※2し、それももっともな意見である。また、今までリンク評価が無効とされたサイトは明らかに悪質(もはや広告ではない)ものが多いので、検索エンジン側も全てのテキストリンク広告を締め出しているわけではない。

読者の方で今後、テキストリンク広告導入を検討される場合は、このように検索エンジン側は決してよいとは思っていないことを肝に銘じた上で、単にSEOのためだけにしか機能しないリンクではなく、それ自体でトラフィックを誘導できる機能も持つ(つまり、比較的目立つ場所に張られる)リンクを選ぶように心がけよう。

最後に、コストパフォーマンスの観点からテキストリンク広告について触れておこう。"広告"と名のつくとおり、テキストリンク広告はそれの維持に費用が発生するため、中長期的に見るとコストが高くついてしまうという欠点もある。また、一時的に広告を取り外すとそれまでのリンク評価の積み重ね(別項:「時間の概念」を参照のこと)が消えてしまうし、もしかしたら競合他社がその枠を埋めてしまうかもしれず、将来もその枠にリンクを設置できるとは限らない。テキストリンク広告を採用するのであれば、あくまで一時的な対策法として捉えておき、その間に、中長期的にわたり安定したランキングを獲得できる、「自然リンクの獲得」「自然リンクが自然に増える仕組み」※3を構築するための対策を行おう。

■ 注釈

※1 SES = Search Engine Strategies Conference。米国を中心に世界各地で毎年、何度か定期的に開催されている検索業界のカンファレンス。日本で開催されるSES Japan と異なり、米国ではGoogle、Yahoo!、Microsoftといった検索会社のエンジニアなどもスピーカーとして登場する。

※2 この意見はSEO業界サイドのもの。ただし、「検索エンジンスパムと判定しない」ための合理的な理由ではある。検索エンジンがペナルティを科すことができる行為は基本的に「検索品質を著しく低下させる行為」に限定されるため。

※3 自然リンクとは、何らかの理由で一般ユーザが自然に張ったリンクのこと。つまりWebサイト運営者が意図的に設置したリンク以外のものを指す。例えば、面白いコンテンツを公開した時に、みんながブログで「これ面白いよ」といってリンクを張る場合、または有益なコラムをニュースサイトで紹介してみんながそれを引用した場合、あるいは新商品の発表を行いメディアサイトが参照先企業としてリンクを設置した場合などを指す。

執筆:渡辺隆広

本原稿は、2007年3月1日時点のもの

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