Yahoo!ブックマークは検索ランキングに影響するか?
2007年6月より、ソーシャルブックマークサービス(SBM)「Yahoo!ブックマーク」がYahoo!JAPAN検索結果に表示されるようになりました。これに対し「Yahoo!ブックマークの登録数が多いページほど検索順位が有利なのでは?」といった憶測が一部で流れました。
しかし、ソーシャルブックマークというコミュニティの特性や情報検索技術の観点から、99%、「ブックマーク登録数と検索アルゴリズムは関係ない」というのが検索専門家の一般的な見方です。
ソーシャルブックマークの反映で検索精度が高まるわけではない
理由は次の通りです。第1に、ページの被ブックマーク登録数をランキングに反映することが、必ずしも検索精度の改善に役立つとはいえませんし、むしろ悪化させかねないためです。これはブックマークを登録するという行為は、単に時世に応じた人々の興味の程度を示しているに過ぎず、特定の検索キーワードに対する適合度や質の担保にはならないのです。ユーザーの登録数の多さは、ソーシャルブックマークというコミュニティの中では重要な尺度になりますが、情報検索というコンテクストにおけるユーザーにとって何の有益な尺度とはなりません。
また、同一ソーシャルブックマークサービスにおいても「人気度を表す一般的尺度」は存在しません。これは人気ページの被ブックマーク登録数は、その時点の会員登録数に比例するからです。また、基本的に過去に遡るほど登録数が減少するため、数百億という膨大な量のページに一貫性を持って重要度を判定することなどできません。むしろ、ほんのわずかな登録されているページにだけ加点をしたら、検索結果全体が歪んでしまいます。
話をまとめると、ユーザーに素敵な検索体験を提供したいと考える検索会社がアルゴリズムを設計する上で、ソーシャルブックマークの情報を反映することの合理性は少なくとも現時点で見出せないため、「登録数はランキングに関係ない」という結論を出すのが妥当です。もちろん、将来ソーシャルブックマークが日常的に大多数のユーザーに利用されるようになる、ブックマークの登録数から質を推定する強力なアルゴリズム技術が登場するなどしたら状況は変わるかも知れません。しかし現時点では全く気にしなくてもいいでしょう。
ちなみに、ランキングとは関係なく、ブックマーク登録数はソーシャルメディアにおけるアテンションを集めるために、(良い意味で)多いに越したことはないです。