Googleサーチウィキ日本への投入による影響について。
SEOとは、検索エンジンに対してサイト構造やページのコンテンツを適切に伝達するための技術です。発信しているコンテンツがそれぞれ何のクエリと関係するかを評価しやすくすることで、結果として、そのコンテンツが検索エンジンで見つけやすくなるのです。この原則は、今回のサーチウィキをはじめとするパーソナライズ技術が登場しようとなんら変化するものではありません。
とはいえ、まだまだ「キーワードで1位にすること」をSEOだと勘違いしている人も少なくありませんし、実際、順位は気になるところでしょうから、そのあたりの観点から影響について考えて見ます。
サーチウィキは「個々人が検索結果を自由にカスタマイズできる」すなわち、パーソナライズド検索同様に(1) 「同じキーワードなら全ユーザが同じ検索結果を見る」という大前提が崩されることにになるので検索順位の指標が相対的に意味をなさなくなること、(2) コンテンツが乏しいサイトは検索から除外されることでアクセスされる機会を失ってしまうため(当たり前すぎますが)コンテンツを充実させることが一層求められる、という影響は考えられます。
これらは理論上は正しいのですが、実際には少なくとも当面はサーチウィキによる影響はないと考えられます。理由は、(1) Googleアカウントでログインしているユーザ限定であることと、日本でのアカウント利用者数、(2) サーチウィキで積極的にカスタマイズしようとするユーザ数、(3) カスタマイズされうるキーワードの種類のその数、(4) カスタマイズの程度(除外数、順位変更数)などの定量情報、さらに、カスタマイズした変更が反映されるのは本人だけ、他人の検索には影響しないことを勘案すると、大多数には影響しないと考えるほうが妥当だからです。大体、米国でもサーチウィキは総じて評判悪いし、これの導入でネガティブな影響が出たというサイト運営者の話は聞いたことありません。また、コンテンツが大事というのは検索マーケティングに限った話じゃない至極当然の話。
なお、Googleプロダクトマネージャー・Cedric Dupont氏は、サーチウィキのユーザデータをシグナルとして見ていること、可能性は否定しないと発言していますので、現在はともかく将来的にサーチウィキの変更が他ユーザに適用されるかどうかはわかりません。ただ、サーチウィキで加えた変更内容が他ユーザの検索にも影響するようになったとしても、それが順位影響に大きなインパクトを持つ(影響を大きくすることでレリバンシーが高まる、程度の価値があるシグナルになる)とは到底考えられません。非常に多くのユーザが除外をしていたら、本当に品質が悪いサイトかもしれないというシグナルになるかもしれませんし、アルゴリズムを改良するヒントは得られるかも知れませんけど。