米Googleは2013年2月6日(日本時間7日5時)、同社の広告プラットフォーム・AdWords のアップグレードを公式ブログで発表した。「Enhanced campaigns」(エンハンストキャンペーン)と呼ばれる新しい広告プラットフォームは広告主にオプションとして提供され、広告主は従来のキャンペーンとエンハンストキャンペーンを選択することができる。2013年中頃を目処に既存のすべての広告がエンハンストキャンペーンに切り替えられる予定。
Google エンハンストキャンペーンは、マルチスクリーン、マルチデバイス時代に対応した新しい広告システム。今日のユーザーは、1日のうちにパソコンやスマートフォン、タブレットなど様々なスクリーンサイズのデバイスに触れており、様々な時間に、異なる場所で検索を行っている。従来、広告主がこれらのユーザーにリーチするためには、デバイスごとにキャンペーンを複数作成したり、デバイスごとの検索行動傾向にあわせた入札や広告クリエイティブの作成、Click-to-Call の設定など、きわめて複雑な広告管理を行う必要があった。
Google エンハンストキャンペーンを利用することで、1つのキャンペーンで各種プラットフォームのターゲット設定や入札管理、広告内容を管理することが可能となる。同社によると、エンハンストキャンペーンは (1) マルチデバイス世界に対応した強力なマーケティングツール、(2) ユーザーの利用環境に応じた最適な広告の配信、(3) コンバージョン種類別の分析、といった点を新キャンペーンの利点として紹介している。
1点目は、たとえば、朝食を提供するカフェが近辺で「コーヒー」や「朝食」とスマートフォンで検索するユーザーにリーチしたい場合に、エンハンストキャンペーンの入札単価調整を設定することにより、店舗0.5マイル内で検索するユーザーには入札単価を25%アップ、午前11時以降は入札単価を20%ダウン、スマートフォン検索には50%アップ、といった具合に、価値の高い検索に指定した値ぶんだけ入札価格を調整することで目的のユーザーに広告を届けることが可能になる。
2点目については、同じキーワードながらパソコンからの検索とスマートフォンからの検索では検索意図(インテント)が異なる場合があり、本来は検索場所にあわせた広告内容を表示することが望ましい。エンハンストキャンペーンではデバイス、検索場所、時間の軸を組み合わせて1つのキャンペーンで最適な広告配信が可能になる。たとえば、実店舗とeコマースサイトの双方を持つ小売店がユーザーにリーチしたい時、スマートフォンで検索するユーザーには Click-to-call や location extensions を使った広告を表示する一方、PCで検索しているユーザーにはeコマースサイトへ誘導する広告を表示することが、1つのキャンペーン設定で可能になる。
3点目は、コンバージョンを「通話」「ダウンロード」「クロスデバイスでのコンバージョン」といった、新しいコンバージョンタイプを追跡することが可能になる。これまでは、複数のデバイスをまたがるユーザーのトラッキングは困難だったが、あらゆるデバイスの違いを意識せずに運用されるエンハンストキャンペーンではこれらの計測や比較を容易に行うことができる。
Enhancing AdWords for a constantly connected world
http://adwords.blogspot.jp/2013/02/introducing-enhanced-campaigns.html
Google AdWords Enhanced Campaigns
http://www.google.com/adwords/enhancedcampaigns/
エンハンスト キャンペーンについて
http://support.google.com/adwords/answer/2909484
Enhanced Campaigns Resources
http://www.google.com/adwords/enhancedcampaigns/resources/
マルチスクリーン化を捉えた AdWords の機能強化
http://adwords-ja.blogspot.jp/2013/02/adwords.html
エンハンスト キャンペーンのメリット
http://www.google.co.jp/intl/ALL_jp/adwords/enhancedcampaigns/
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市場背景から見ると・・・近年、「モバイル広告のCPCがPCのそれと比べて低い」という指摘がなされていました。要は広告主がPCプラットフォームほどモバイルに広告費用を投下していないということです。これはPCと比べてモバイルのコンバージョンが低い、モバイルスクリーンに表示可能な広告数と枠・場所の問題、そもそも広告主がモバイルサイトを保有していない・・・など様々な要因がありますが、とにかくモバイルのCPCを改善することはGoogleの今後の成長戦略を描く上での課題の1つでした。パソコン市場における圧倒的な支配力を、モバイルでもどう展開していけるのか。で、今回のエンハンストキャンペーンは、デバイスの垣根を取り払うので、全体的なCPCは上昇するはずです。広告主視点で見ると・・・クロスデバイス間でコンバージョントラッキングできるのは大きい。でも色々と変更しないといけないことも多い。[随時追記していきます]