SEMリサーチ

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リンク否認ツール(disavow tool)の使い方 - Googleから手動対策受けていない時に利用しても良いのか?

この話題はクライアントサイドよりも業界関係者においてよく議論になる話題なのですが、Googleから手動対策(ガイドライン違反による順位下降、いわゆるペナルティ)を受けていない段階において、リンク否認ツール(disavow tool)は利用して良いのか?という点です。

「(状況にかかわらず)リンク否認ツールは必要ない、ペナルティを受けたのはリンクの問題じゃない」と未だに顧客にアドバイスをする一部の悪質SEO業者の言い分はおいておくとして、リンクの否認ツールは原則として次のようなケースで使うものです。

『バックリンクから不適切なリンクを取り除く過程において、どうしても自分自身で削除することができない場合に、リンクの否認ツールでGoogleに申請する』

ペイパーポスト(Pay Per Post)によるリンクの拡散や、リンク削除要請したSEO会社から500万円の削除料を請求された等、自分自身でリンク削除の努力をしたけれども対処のしようがない、あるいは外注先から法外な料金を請求されたといった、"努力したけれども対処できない場合に使う"のが原則です。

しかし、Matt Cutts氏によると、事前予防策的にリンク否認ツールを利用することも問題ありません。自分でバックリンクの監視をしている過程で、明らかに不自然でGoogleのガイドラインに抵触するであろうことが明白な被リンクを発見した場合に、Googleから何らかのアクションがとられる前にあらかじめ自分でリンクを否認してしまっても、良いとのことです。

Should I use the disavow tool even if there's not a manual action on my site? - YouTube

ただしこの話、「日常的に、自分のサイトのバックリンクをモニタリングしている」(リンク監査)ことが大前提です。日本企業で常時バックリンクの監視を自発的に行っている企業がどれくらいいるのか私はわからないのですが、少数派なのは確かだと思います。しかし、サイトの構成や形態にもよるのですが、常時監視をすることで手動対策(またはアルゴリズムによる自動)順位下降のリスクを軽減することが出来ると思います。

実際、ある日突然、よくわからないけれどもウェブスパム以外の何物でも無いリンクが大量に張られるということは時折あります。過去に、某社(A)が公開していたAPIを使ってスパムサイトを構築した某社(x,y,g)によって、本家(A)のサイトが大幅に順位下落してしまったという笑えないケースがありましたが、今日であればもし (A) が常時モニタリングしていて x,y,g の動きを捕捉できていればきっと防止できたものと推察されます。

最後に実務上のまとめ。SEOをアウトソーシングしていて、かつその契約内容が検索順位に応じた課金制度の場合は、その作業内容を確認する意味でも外部リンクの監視は常時行っていて、不適切な行為が発見された場合は即座にその作業を中止してもらう(文書で要請する <= Googleに提出できるエビデンスを残しておくことが大事)、受け入れられなければGoogleからガイドライン違反を受けるかもしれないことを想定して準備すると共にリンクの否認ツールで予防策を打っておくと良いのではないでしょうか。インハウスでSEOを行われている場合は、解析・計測の中にリンクプロファイル(被リンクの健康状態監視)の作業も入れておいて、スパムリンクが検出された場合は、それがドメインレベルで故意に行われているのであればリンクの否認ツールを使う、といった具合にルールを策定しておくと良いでしょう。

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