ソーシャルネットワーキングサービスが広まったことでウェブがますますソーシャルになってきた。この結果、推薦や紹介などの意図を込めたリンクを提示する発信源が「サイト」から「人」に移行してきた。
従来は「サイト」がリンクを発信するという前提で外部リンク構築(Link building)戦略が考えられた。相手がサイトだから、みんな(のサイト)がたくさんリンクを張ってくれるコンテンツとは何かを考えるよりも、自分でリンクを登録・設置しにいったり、自分でリンクを作って評価を高める方が実際楽だった。"Content is King" は理想論で片づけられた。サイトが発信元だったからこそ、東南アジアなどの新興諸国でスパムサイトを大量生産してリンクを発信するという方法を採るブラックハットSEOも横行した。
だけどリンクの発信源が「人」になると、そうはいかない。「人」が情報を発信し、共有し、ウェブで拡散していく世界において、(そしてGoogleが不自然なリンクに非常に厳しく対処している現実もあわせて考えれば)従来のような手法はもう通用しない。つまらないサイトなんて、相手にしてくれないし会話の中にも出てこない。
「人」はなぜ、サイトを他の人に紹介するのか。どんな人に、どんなコンテンツを共有したいと考えるのか。会話の輪に入って、みんなに支持してもらえる、共感してもらえるためには、その「人」とどんなコミュニケーションをとれば成立するんだろうか ---そう、Content is King は理想論で切り捨てるわけにはいかなくなった --- という流れの中で、最近のコンテンツマーケティングやWeb Presence Optimization(WPO)あるいは Content Discovery (コンテンツ・ディスカバリー)etc..という、マーケティングの上位概念が提唱されるようになってきた。
…という枠組みや流れを押さえて頂くと、企業がFacebookやTwitterを運用する時にSEOの概念をどのように取り扱い、マーケティングの中に落とし込めばいいのかがおぼろげながら見えてくるのではないだろうか。SEOのためにFacebookやGoogle+ページを開設するのは論外なのは言うまでもない。
#1
説明が雑すぎた感があったのでちょこっとだけ修正しました (2013/12/17 15:35)
#2
年末ですので取材関係者から「今後のSEOの展望をお願いします」という質問も増えてきているのですが、なかなか回答するのが難しいんですよね。デジタルマーケティングの本質論を語るとSEOとかけ離れすぎてしまいますし、第一、話が終わらない。世間的にSEOとは何かすらまともに理解されていないところに、小難しい話は厳しい。
そんな事情もあり、できるだけ話を広げすぎずに、相手が取材記事を書きやすい程度に、SEOの延長線上で現在からほんの少し先の未来の話をする時には、これくらいの概念にとどめて理解してもらうよう試みています。本文で書いた通り、リンクグラフ(Link Graph)が2000年時点と全然違うよね、という視点で見てもらうといいのかな。