SEMリサーチ

企業で働くウェブマスター向けに、インターネット検索やSEOの専門的な話題を扱います

2014年 SEO業界 予測と展望

皆様、明けましておめでとうございます。本年もSEMリサーチをよろしくお願い致します。2014年を迎えたところでまず第1弾は、SEO業界 2014年の予測と展望について語りたいと思います。

「SEO終了」などしていない

キーワード:検索を通じて「見つける」ためのSEO

ここ数年、定期的に「SEOの時代は終わった」「SEO終了のお知らせ」と語る方がいますが、全く終わっていません。『ユーザーが必要な情報を、必要な時に、検索を利用して探す』という行動が変わらない限り、『検索による発見性』(Findability)を高めるためのSEOという技術は必要です。あなたが発信した情報を、必要な人へ、検索ですぐに見つけ出せるようにしてあげるためのSEOは、効率的な情報伝達の工夫です。

SEOの時代が終わるとしたら、それはGoogleが完璧な検索エンジンとして完成するか、必要な情報を瞬時に探し出せる検索以外の手段が登場した時でしょう。しかし、それはまだ当分先の話です。

cf.

SEOの時代はまったく終わっていない

旧来型の外部リンク構築施策は「終わった」

キーワード:旧来型外部リンク対策

旧来型の外部リンク構築施策は「終わった」と言っても言い過ぎではないでしょう。「旧来型」とは、数多くのサイトを作り、順位を上げたい目当てのサイトに向けてリンクを張る行為や、多数のサイトを協調・連携(シンジケーション化)させてリンク発信元として利用するといった行為、すなわち『リンクを設置できる場作り自体が目的になった外部リンク施策』です。本質的に、外部から張られるリンクとは自分で張るものではなく、他人が自然に張ってくれるものです。

cf.

ディレクトリ登録による外部リンクが無効に

プレスリリースにもnofollow リンクが無効に

外部リンクの構築ではなく、関係性の構築

キーワード:エンゲージメント

以前から講演等で時折言及していますが、SEOが向かう先は外部リンクの構築ではなく、関係性の構築です。関係性の構築とは、自分自身の事業領域に関心を持つインターネットユーザーと交流し、理念や思想を理解・支持してもらい、関係性を深めていくことです。先日公開した記事で触れた通り、情報を共有し、より多くの人たちに届けてくれるのはソーシャルの場にいる人たちです。どこかから購入・調達してきたフォロワー数やいいね数、リツイート数はいりません。必要なのは、あなたの発信した情報にコメントしたり、共感したり、他の人にも共有してくれる、そんなユーザーとの絆を深めようとすることです。そうした関係性を構築していく過程で、自然なリンクも増えていくのです。

とはいえ、いきなり旧来型の外部リンク対策をバッサリと切り捨てていいものではありません。米国では、数年の歳月をかけて緩やかにコンテンツ提供と交流を通じた自然リンク獲得施策へ移行しようとしています。日本も、その移行が(今までリンク購入一辺倒だった)企業の間でも少しずつ始まっていくのではないでしょうか。

cf.

検索とSEOとソーシャルの話 - リンクは「サイト」から「人」へ

Content is King - コンテンツマーケティング

キーワード:コンテンツマーケティング

ソーシャルの場にいるユーザーと交流し、関係性を構築していくためには、彼らにとって役立つコンテンツを継続的に発信していく必要があります。2013年は、当サイトに限らず多くのブログやニュースメディアがSEOにおけるコンテンツの重要性について言及していました。熱心に情報収集をしているウェブマーケティングの担当者も、コンテンツの重要性そのものは認識し始めたことでしょう。2014年は、より多くの企業が、検索エンジンマーケティングの中にコンテンツの施策をどのように取り込んでいくのかを真剣に考えていくでしょう。同時に、こうしたコンテンツ戦略の企画や制作を支援する企業やサービスも増加していくことでしょう。

Googleが検索にSSL暗号化を導入して参照キーワードを全く閲覧できなくなったことも、キーワードレベルでの戦略立案から、コンテンツレベルの戦略立案を後押しすることになるでしょう。

cf.

コンテンツマーケティングで覚えておきたい5つの注意点

ペンギンアップデート3.0?いや、もっと強化・進化するウェブスパム対策

キーワード:ウェブスパム対策

Googleのウェブスパム対策が年々強化・進化してきていることは、業界関係者であれば誰もが同意するところでしょう。毎年の展望で必ず言及しているので今更説明するまでもないとは思いますが、2014年は昨年より更に一歩進んだ対策をしてくることでしょう。

外部(スパム)リンク対策を例にとると、2013年は「シンジケーション型の低品質リンクネットワークを無効にした」と表現出来ると思います。ディレクトリのネットワーク、プレスリリースのネットワークと、いずれも多数のサイトと協調してリンク発信源のためのネットワークとして稼働してきましたが、Googleのガイドライン違反指摘により、ほぼ壊滅状態となりました。

今年は、記事体広告(アドバトリアル)を厳しく監視していくのではないでしょうか。

昨年2.0があったペンギンアップデートは、今年も実施されたらペンギン3.0となります。しかし、パンダアップデートが通常の検索アルゴリズムに統合されたようにペンギンも通常のアルゴリズムに統合され、公式な発表はなくなるかもしれません。

cf.

Google 主な検索アルゴリズム/検索技術 変更の歴史 7+1選

米Google、アドバトリアル(記事広告)が混在するメディアをニュース検索から排除すると表明

スマートフォン対応サイトの検索ランキングアルゴリズム

キーワード:マルチスクリーン対応、スマホ検索ランキングアルゴリズム

昨年は Android端末やiOS端末では閲覧できないFlashコンテンツや転送設定に致命的な誤りがあるサイトなど、ユーザー体験を損ないうる技術的な問題を抱えるサイトの検索順位を下降させる措置を発表したGoogleですが、相変わらずマルチスクリーン時代における検索順位決定のあり方において試行錯誤を続けています。

「マルチスクリーン時代において、検索結果はどうあるべきか、何が理想形なのか」という明確なビジョンが描き切れていないのでしょう。急速に成長したマーケット故、ウェブサイトのマルチスクリーン対応もまちまちであり、こうした過渡期においてサイトを(アルゴリズムで)どのように評価すべきかは数多くの課題があることは事実です。それ故に、今年もスマホのランキングシグナルに関する新しい発表や、マルチスクリーン対応をするための新たなアノテーションやタグが登場する可能性があります。

ウェブサイトも、検索トラフィック獲得の観点から、FlashやSilverlightではなくHTML5の活用が広がっていくことが予想されます。

cf.

Google、スマートフォンサイト向け検索ランキングアルゴリズムを変更

信頼性を評価するシグナル:オーサーシップとオーサーランク

キーワード:オーサーシップ、オーサーランク

2013年はGoogle Authorship(オーサーシップ、著者情報)やAuthorRank(オーサーランク、著者の権威性に基づく順位付け)の議論が活発になされた年でした。信頼性を評価する上で、著者のプロファイルを使うことは合理的な発想であり、向こう3年以内に必ずSEOを検討する上で大きな影響を及ぼす要素となるでしょう。

今すぐに取り組むことで大きなメリットが享受できるものではありませんが、今のうちに取り組んでおかなければ(始まった時に)手遅れになる公算も高いです。なぜなら、「信頼」という要素は簡単に作ることができない指標だからです。前半で関係性の構築の話に言及しましたが、著者やサイトの信頼性を醸成する上でも、Google+は大きなカギになるはずであり、少し先の未来を見据えて取り組むのであれば、2014年がその良い年になることでしょう。

cf.

米Google、話題ごとの「権威性」を評価する検索アルゴリズム開発に取組む

ナレッジグラフ

Googleの検索技術の進化の観点から注目したい動きの1つはナレッジグラフでしょう。特にカルーセル(Carousel)表示は人物から映画、ローカル(地域情報)や自動車など表示対象領域が拡大してきています。検索需要が高い領域を中心に今年も広がっていき検索がより便利に進化していくことは間違いないでしょう。ナレッジグラフの情報が充実してくると、音声検索による会話型(Googleが音声で回答する)検索も増えてくるはずです。SEO担当者にとって基本的※に特別な対処ができない機能ではありますが、検索の未来を考える上で動向は押さえておきたいものです。

※ Google Local Carousel(地域情報のカルーセル表示)はGoogle+Localページへの掲載写真が関連するので、対応すべきことはある

モバイル端末とローカル検索

キーワード:カルーセル(carousel)、Google+ローカル

日本は市場規模の違いやインターネットマーケティングに全く取り組んでいない事業者が多い故にあまり話題になりませんが、検索結果画面の変化(進化)を追っていれば、特に実店舗を持つ企業や事業者は、ローカル検索結果枠への取り組みの重要性を認識できる年になるかもしれません。米国で先行している Local Carousel (ローカルカルーセル)が日本でも導入されたり、Google+ローカルページと検索サービスとの融合が進んでくることで、リアル店舗を持つ企業も登録・運用・最適化の取り組みニーズが生まれると考えています。

そう遠くない未来に、検索サービスとGoogle+の連携・融合が緩やかに進んでくるだろうというのが業界人の多くが同意する点です。その未来像がどこまで日本で皆が描くようになるのか次第ですので、これは2014年の予測というよりも、数年先を見据えてのものですが、参考までに。

COPYRIGHT © 1997-2021 渡辺隆広(わたなべ たかひろ) ALL RIGHTS RESERVED.

お問い合わせ(お仕事の相談、講演依頼など)

SEMリサーチ(www.sem-r.com)に掲載している文章及び図版の無断使用及び転載を禁じます。著作権侵害行為には厳正に対処します。

免責事項:SEMリサーチは、本記事中で触れている企業、商品、サービスの全て(情報)について、有用性、適合性、正確性、安全性、最新性、真実性に関する一切の保証をしておりません。各自の判断でご利用下さい。