要約
- コンテンツマーケティングは「戦略」「制作」「流通」「効果検証」のフェーズから成り立つ
- 戦略を決めると自らが発信すべき情報の選択や、伝達マナーが決まる。オーディエンスに届けるデリバリー方法まで考えると、継続的な関係性構築につながる
- コンテンツ制作とは、単に文章を書くことではなくデザインすることである
コンテンツマーケティングの「戦略」「制作」「流通」「効果検証」
コンテンツマーケティングにおいては、誰に、何を、どんな目的で、何を解決するために、どのように伝えるのかという「戦略」のフェーズ、その目標にあわせてコンテンツを制作する「制作」フェーズ、制作したコンテンツを届ける「流通(デリバリー)」フェーズがある(最後に効果検証は必要であるが、本記事では触れないので割愛する)。
戦略はミッションステートメントでドキュメントに落とし込む
戦略は、具体的なミッションステートメントに落とし込む。たとえば当サイト(SEMリサーチ)は、次のようにミッションステートメントを設定して文書化してある。
SEMリサーチのミッションステートメント(2003-2019)
“業務でSEO をしている人や、最近 SEO の勉強をはじめたばかりのウェブマスター(社内ウェブ担当者)に向けて、 SEO技能の教育・育成・啓蒙に貢献するコンテンツを提供し、自分自身で SEO の意思決定を行えるようにする”
このようにミッションを明確にすると、取り扱うべき話題の選択や、そのコンテンツ構成、情報の粒度、難易度、伝えたい事柄、結論などに関する決定が自然と行えるようになる。検索クエリなどの需要ベースに左右されず、課題解決のために自らが発信しなければならないトピックを決められる。目的を明確にすればそれを計測するための適切なKPIも選べるようになる。
制作はライティングではなく「コンテンツデザイン」である
制作はその名の通りコンテンツの制作であるが、これはライティングではなく「コンテンツデザイン」の定義から手をつける。コンテンツデザインとは「特定のタスクを完了させようとしているユーザーをアシストするための情報提供、および目的に合わせた情報のレイアウトや形式を決定すること」である。コラム形式、チェックリスト、フレームワーク、4コマ漫画、動画、アニメーションなど情報形式は多様である。目標や解決する課題にあわせて情報量も決めていく。ここまで含めて、実際にコンテンツの制作に取りかかる。
コンテンツの届け方を考えなければオーディエンスとの関係性は進まない
流通とは、発信するコンテンツをどのようにオーディエンスに届けるのかという話だ。コンテンツマーケティングの目標の1つは「オーディエンスを育てる、つまり関係性を構築・維持することでファンになってもらう」ことにあるので、検索にこだわらず、様々なチャネルを最大限に活用する必要がある。Twitter、Facebook、Instagram、YouTube、SnapChat やオウンドメディアといったチャネルを使って、コンテンツを届けてオーディエンスを形成していく。ここを中長期的に成功させると、自ずとGoogleがポジティブに評価するシグナルが自然と生成されてくるので、検索チャネルのトラフィックも最大化できる。
戦略なくして適切なコンテンツマーケティングは実践できない
上記の話を踏まえたうえで、皆様自身のコンテンツマーケティングに関連する業務を振り返ってみて欲しい。日本ではとりわけ「ライティング」、しかも文章作成に注力していて戦略やデリバリーが蔑ろにされている傾向がある。しかし、戦略なくして適切なコンテンツマーケティングは行えない。情報のデリバリーを考えなければオーディエンスは形成されず、検索エンジンから評価してもらうために必要なシグナルも増やせない。せっかくコンテンツマーケティングに取り組むなら、中長期的に意味あるものにしていかなければならない。