要約
- ページエクスペリエンスを評価するランキングシグナル導入を予告、既存のページエクスペリエンス関連シグナルと、先日発表した Core Web Vitals の組み合わせ
- 新型コロナの影響もあり、年内導入はなし。また、正式導入の少なくとも半年前には告知する
- ページエクスペリエンスも重要だが、優れた関連性の高いコンテンツがもっと重要、優れたエクスペリエンスがだめなコンテンツを帳消しにすることはない
Googleがウェブエクスペリエンスに関連する新しいランキングシグナル導入予定
米Googleは2020年5月28日、今後導入予定のユーザーエクスペリエンスに関連するランキングシグナルについて公式ブログで発表した。簡単な概要と解説は次のページに掲載したので参考にしてほしい。
twitter.com
SEO関連のお仕事をしていると、新しいランキングシグナルと聞いたら関心はとても高いに違いない。何をしてくるか恐ろしいかもしれないが、でも今回は、安心してほしい。UX関連のシグナルなので特殊な対応は要求されない。むしろ純粋にユーザー体験を追求している企業や個人にとっては歓迎すべき流れだからだ。さらに導入は2021年以降なので解決すべき課題があってもまだ十分な時間もある。
UX関連ランキングシグナルの解説
もう私はGoogleの個々のニュースについて詳細を当サイトで言及する気はないのだが、年間通して重要そうな話題程度は取り上げたいと思う。概要は上記 Twitter に掲載したので、重要な点と私の見方、最後にToDoを箇条書きで記載する。Googleに忖度する気は一切無いので、好き放題書く。
- 新しいランキングシグナルといっても、ユーザーエクスペリエンス(以下、UX)関連が導入されることは既定路線。2010年以降のGoogleはこの点は一貫している。全体的なインターネット検索動向を踏まえていれば、それを前提にユーザーフォーカスにシフトしているはずなので、大した問題ではない。Core Web Vitals もドキュメントに一通り目を通していただきたいのだが、UXの観点から「そりゃそうだよね」という妥当な範囲の内容にすぎない(可視化して評価可能にしてくれるのは大変ありがたい)。
- Googleは2010年代から現在にかけて(そして将来も)検索利用者による情報の評価やウェブ体験を重視しており、検索を単なる関連情報の候補を探す場所から、個々のタスクを即座に完遂できるプラットフォームへと進化させている。検索する場所もPCやスマホだけとは限らない。この流れを押さえたうえで、検索エンジンはより優れたサービスを提供するために何を課題と認識しているか考えると、適切に予測が行えるようになる。森全体を把握して木を見るだけでなく、その森の生態がどう変化しているのか観察しつづけることが大切。
- 話を戻す。上記点を踏まえて、本件対応で意識を変えなければいけないウェブマスターとは、相変わらずSEOがGoogleフォーカスであること、あるいはグロースハックという名のもと、Googleが好むコンテンツやGoogleが好むユーザー行動を作為的に発生させることが自分の仕事であると勘違いしている人たちだ。その発想は2000年代はある意味正しかったかもしれないが、2020年現在はすでに時代遅れであることを再認識する必要がある。勘違いする人が必ず出てくるので釘を刺しておくが、「Googleが好むUX」など存在しないし、その発想は捨てること。ユーザーにとって良いサイトを運営していれば、それで良い。
逆に、ユーザーと真摯に向き合ってウェブサイトを運営している企業や個人は恐れる必要はないし、むしろ歓迎できることだと思う。私は職業上、多種多様なサイトを見ているが、最近はブロガーやアフィリエイターのほうがずっと良いコンテンツを発信している例もたくさん見かける。 - Googleが発表している通り、新型コロナウイルスの影響もあり、実際に導入されるのは2021年以降。正式導入される時は6ヶ月前には告知するとのことだ。現時点で特に対応することはないが、ユーザーエクスペリエンス自体は現在でも投資すべき対象であり、ウェブマスター自身で認識しているUXの課題は列挙して1つずつ潰しておけばよい。
- 検索プラットフォームというのは、ユーザーが必要とする情報(あるいはタスク支援)を提供する場所であり、したがって検索エンジンが最も重要視することは、優れた、最高のコンテンツを提示すること。つまり、優れた最高のコンテンツが、エクスペリエンスよりも優先される。SEOというのは、優れたコンテンツをより多くの人に、適切な場所とタイミングで届けることを実現する手段であるという基本理解があれば、コンテンツの関連性が常に最優先される理屈も理解できるだろう。
- 本件に対応する(とりあえずの)アクションとしては、Core Web Vitals のドキュメントに目を通すこと。SEOに関係なく教材として勉強になるので、読む。2つ目に、ユーザーフォーカスでサイト運営を継続すること。優れたコンテンツをユーザーのために継続提供することに意識を向けること。3つ目に、PageSpeed Insights や Chrome UX Report、Search Console、Chrome DevTools、Lighthouse、Web Vitals Extension など主要な開発者向けツールが Core Web Vitals をサポートしたので、見るとよい。最後に、エクスペリエンスは重要だが、そこに優れたコンテンツがあることが大前提。検索は関連性がすべてに優先する。優れたコンテンツを、素晴らしい体験とともに届けることを意識する。
- ページエクスペリエンスに関連するシグナルは年ベースで追加していくとのことだが、UX関連のお話はユーザーと向き合ってサイト改善に取り組んでいる、その意識のある企業や個人には何ら問題にならない。
一方で、Googleに忖度した小細工や運営はやめること(Googleと向き合ってグロースハックしたMERYやWELQの末路を忘れてはならない)、その発想は捨てること。そこにリソースを割くくらいなら、他のデジタルマーケティング施策を実行して、Googleが評価するシグナルを増やすこと考えたほうがいい。
関連リソース
英語が苦手な方には申し訳ないが、英語と日本語ソース混在で列挙する。