SEMリサーチ

企業で働くウェブマスター向けに、インターネット検索やSEOの専門的な話題を扱います

SEO 2021年予測と展望

この時期になると来年のインターネット検索やSEOの見通しについて尋ねられることも多いので、SEO 2021年展望ということで注目している項目を列挙する。

なお、私は今後3~5年先も考えたうえで意見を述べているので、昨年・一昨年と同じ項目が含まれていることをあらかじめお断りしておく。また、以下の記事は要約版である。詳細版はSEMリサーチプラスを参照してほしい。


2021年のGoogleコアアップデート

December 2020 Core Update はともかく、一年通して米国の検索結果を見ていると、コンテンツの有用度、具体的に述べると「どんな形式や要素が含まれていることが(そのジャンルにおいて)ユーザーに役立つのか」ということが反映されていると感じる。つまり機械学習を用いたランキングアルゴリズムがはっきりと賢くなったとわかる事例を目にするようになった。

来年も年3回程度のコアアップデートが実施されるに違いないが、コンテンツの品質や有用度、ユーザー体験の評価に関連する、より抽象度の高い要素が検索結果に反映される(つまり、SEOが上手・下手ではなく、本質的に「よい」が検索結果に反映される)ようになっていくと予想する。パブリッシャーにとって頭の痛い状況は続くことになる。なお、GoogleはSEOが上手ではないWebサイトでも関連性が高いコンテンツを検索結果に表示するよう努める(SMX Live)趣旨の発言をしているが、個人的には正直、まったく期待していない。Googleは、SEOが上手・下手云々の扱いの話を10年前もしていたではないか。

YMYL領域は、Non-YMYL領域と比べれば難易度が高いことに間違いない。ただし、高いE-A-Tが要求されるとは、すなわち判断基準が(Non-YMYLより)明確であるとも言える。Googleの判断基準、要求水準がどこにあるのか見極めることを意識すると、自分たちがやるべきこと、向かうべき方向性は定められると思う。


ユーザーエクスペリエンス

Googleが2021年5月にCore Web Vitals をランキングシグナルに導入することを予定している。Googleはここ数年、検索エクスペリエンスを重視し、より速く、より速く情報にアクセスできることを目指している。ただし、Googleがウェブマスターに改善を促そうとしているユーザーエクスペリエンスは検索に限らず一般的に来訪者にとって良いことに違いはない。ランキング要素になるといっても関連性やコンテンツの有益度が無視されるわけでもない。かつてページ読込速度やHTTPSが導入前にさんざん話題になったにも関わらず導入後は誰も気にしなくなったのと同様、注目度が高いわりには大した影響はないと個人的にはみている(経験的に、多くの人が注目する話題ほど影響は小さいから)。

むしろサイト運営者が気にすべきことは、Googleがウェブから回答となる情報を抽出し、検索結果に直接表示する機会が年々増えていくことでオーガニックトラフィックに影響が及ぶことだ。SEO担当者は担当するWebサイトの性質や分野にあわせて、優れたユーザーエクスペリエンスをより深く追求していく必要がある。


検索語句の完全一致・部分一致

普段、英語で検索している人は気がついているに違いないが、検索語句との完全一致文字列を含むページが検索結果上位に含まれる割合がこの1年で低下している。一方、ユーザーが本当に求めていたであろうページを検索上位に表示できるようになっている。正直、私個人も検索窓に入力した文字列を無視して検索結果を表示する仕様に「余計なお世話だ」と感じることも少なくないのだが、英語で検索している時はあまりそのフラストレーションがたまらなくなった(このあたりのデータは特に蓄積していないため数値で語れず申し訳ないのだが、体感的には確実に変化を感じる)。

つまり、Googleは世界中の検索利用者から収集した膨大な行動データを通して、どのページが有用なのか適切に判断する仕組みを着実に改善してきている。どのページが検索文字列を含む(かつ関連性が高い)かではなく、どのページがユーザーに優れた体験を提供しているか判断できるようになってきたことを示す。この検索アルゴリズムの傾向は今後も継続すると予想される。


検索クエリを起点にするのではなく、トピックを起点に

したがって、発信するコンテンツを考えるときは、トピック(話題とその範囲設定)とコンテクスト(どんな場面でそのコンテンツが利用されるのか)を十分に考慮したうえで、有用なものをつくらなければならない。検索チャネルだけでなく、YouTube、Instagram、Twitter などオンラインの各チャンネルやオフラインを含めて、ユーザーがどのような体験をしながらタスクを実行しようとするか考えながら、どの場面でどんなトピックとコンテクストを持った情報提供を行うことが最善か考えることが要求される。現実のユーザーは検索チャネルのみで情報取得を行うわけではないことを考慮すれば、検索クエリを起点にすることの利点と限界も見えるはずだ(ただし、検索特有のニーズも存在するので、検索クエリのデータをざっと眺めることも大切)。

トピックとコンテクストを起点に考えることは、読んでもらったユーザーの行動や考えを変えることに意識を向けられるメリットがある。SEOの文脈で仕事していると、どうしてもコンテンツをどんな場面でも何の役にも立たない、一般的な説明に終始してしまいがちだからだ。「だれ」が「どの場面」で「どのように情報と接触する」か考えることで、ページの目的や有用性を具体的に定義できるのである。


検索ボリューム数に意味はない

Googleがキーワードプランナーを通して提供するデータには月間平均検索ボリュームが記載されている。ボリューム数にたいした意味はなく、Google Search Console (GSC) でクリック率と実際の検索流入数を確認することを強くすすめる。検索結果のレイアウトが複雑になったことで、自然検索1位といってもクリック率に顕著な違いが生まれるためだ。

今日のGoogleモバイル検索結果は、いわゆる自然検索1位「と呼ばれていた場所」に、広告や、強調スニペットやライブ試合結果といったダイレクトアンサーを差し込んでいる。「自然検索結果の1位」というと私たちは検索結果画面の最上部(少なくとも広告の下)を想像するが、実際には above the fold (1画面目)には存在しないことも珍しくない。Googleが挿入したコンテンツによって自然検索1位が画面下に押し下げられれば、それはクリック率に影響してくる。実際、通販や保険、不動産、飲食など業界別、また検索結果画面が大きくかわる検索語句の種類別にクリック率を比較すると、同じ自然検索1位なのにクリック率に20ポイント近く差が出ることもある。

つまり、月間検索数が多い検索クエリであっても、検索結果画面のレイアウトに影響されてクリック率が下がるのでは期待したほど検索流入は得られない。同時に、検索数が相対的に低くともレイアウトの関係でクリック率が高めであれば相応の検索流入を期待することができる。

以上の話は新しいトピックではないが、認識させていない方もいらっしゃると思うので念のため触れておいた。

 

コンテンツ:視点と意見の多様性

Googleの品質評価アルゴリズムとの関係でコンテンツに言及すると、ある事柄についての意見と視点の多様性が重視される傾向がある。来訪者に意志決定を行うに足る、十分な情報提供を行う(インフォームドコンセント)観点から、一方的な情報では不十分ということだ。海外ではロングフォームコンテンツが話題になるが、これも文章の長さというよりもその情報量にともなう考察の深さが関係していると考えられる。

 

信頼性、構造化データ、ナレッジグラフ

現在でもフェイクニュースや不正確な情報が問題になっている。今後はAI悪用したスパムのやってくる。したがって、情報発信者の信頼性はますます重要になる。構造化データで情報を渡す、ナレッジグラフで企業やブランドを認識されるようにする、など。

 

 

 

※ 上記の話を講演形式で希望する場合は、お問い合わせください。特に内容をカスタマイズせず、一般カンファレンス向けの形式でよければ柔軟に対応させていただきます。

 

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