SEMリサーチ

企業で働くウェブマスター向けに、インターネット検索やSEOの専門的な話題を扱います

PageRank - ページランクの基礎知識

Google の PageRank について基本的な解説をします。PageRank の抑えておきたい基本事項をまとめています。

PageRank - ページランクの基礎知識

  1. ページランク - ページランクとは?
  2. ページランク の検索エンジンに与える意味
  3. ページランク の値を調べる
  4. 推定ページランク
  5. ページランク は掲載順位を決める絶対評価ではない

PageRank - ページランクとは?

Google は現在検索エンジン市場において圧倒的な検索エンジントラフィックのシェアを占めています。Googleは最初の登場以来、その検索精度の高さから瞬く間ユーザーの支持を得て多くのポータルサイトや検索エンジンに採用され、今の地位を築いています。

この Google の検索サービスを支えているのが同社の採用するWebサイトの重要度をリンクによって判定する技術 PageRank(ページランク)です。PageRank はWebサイトが張るリンクを「支持投票」とみなし、例えばWebサイト(A)がWebサイト(B)にリンクを張った場合、サイト(A)はサイト(B)を支持したとしてサイト(B)に加点をします。そして加点の高いサイトは重要なサイトと評価をします。

Webサイトの管理者が自分のWebサイト外にリンクを張る時、それは訪問者に対してそのリンク先のページを「参照」「推薦」「紹介」「関連」といった意味をこめてリンクを張っているます。自分の嫌いなページや全く自らと関係のないページにリンクを張ることは通常あり得ません。別の見方をすれば、多くのWebサイトからリンクをもらっているサイトは多くの人から紹介されているので内容の良いサイト、価値のある情報を提供しているWebサイトと推定する事ができます。このインターネットにおけるリンクの特性を利用して検索サービスに反映させたのがGoogleのPageRankでした。

PageRank の検索エンジンに与える意味 - ページ外要因

リンクによってWebサイトを評価する PageRank は検索サービスの質的向上にとってとても革新的や役割を果たしました。Google登場以前の検索エンジンは、検索結果の順位を決める際に個々のWebページにおけるページ内要因(on-page factors)によって決めていました。ページ内要因とは例えばタグ内の文字列や 〜 内に登場する検索キーワードの回数、頻度、キーワードにつけられている強調タグやフォントのサイズ、キーワード前後に出現する単語といった、ページ内に存在する要素によって個々のWebページの重要性を評価して順位付けを決定、反映させていました。つまり、無数に存在するWebページを個々に独立した存在として評価していたのです。

これに対して PageRank はページに対して張られている「外からのリンク」というページ外の要因 - ページ外要因(off-page factors)を加味してWebサイトの重要性を判断しています。PageRank というページ外要因とページ内要因を組み合わせてWebサイトの重要性を評価する事で検索結果の精度を高めたのです。従来のWebページ個別の評価から、リンクによって接続されたWebページとの関連性も評価対象になったのです。

ページ外要因を順位付けの評価に加味する事はとても重要な事です。なぜならページ内要因は全て該当ページの管理者によって自由に操作をする事が可能な為、悪意を持ったサイト管理者は検索結果の順位を上げようとキーワードの出現回数を意図的に増やす等を行う事で検索エンジンによる評価を騙す事が可能です。それに対してページ外要因はWebサイト管理者自身では操作する事が不可能な要素の為、検索エンジンを騙す行為がしづらいのです。

また、価値のある情報、多くのユーザーに指示されているWebサイトは自然とリンクが増加していきますし、これらは第三者によるリンク行為による評価ですので情報の価値について客観性が保たれています。従って、ユーザーの入力する検索キーワードに対して質の高いWebサイトがユーザーの目にとまる上位に配置させることが可能なのです。

PageRank の値を知る - Google ツールバー

Google の PageRank技術は、各Webページに与えられているPageRankを数値化しています。どのページにどれだけのPageRank値が割り振られているのか、その正確な数値を知ることはできません。しかし、Google が提供している Google ツールバーを利用することで10段階でいくつのPageRankが割り振られているのかを知ることはできます。

PageRankの値を知る為にはまず Google ツールバーをパソコンにインストールする必要があります。まず、Google ツールバーのサイトにアクセスをします。Google ツールバーのインストール方法に関する案内がありますのでそれに従ってインストールをして下さい。

このツールバーのインストールが完了すると、ブラウザ画面上にGoogleツールバーが表示されます。その中にPageRankという文字とその下に緑のバーが現れるかと思います。これがGoogleのPageRankが10段階中いくつであるのかを知る為のアイコンです。どこかのWebページにアクセスをして、そこに緑のバーが表示されたら、マウスのカーソルを緑のバーの上に持っていって見て下さい。数秒すると、(5/10)といった文字が表示されるはずです。この数字がPageRankの10段階評価値です。5/10 とあればそのサイトには10段階で5のPageRank値が割り振られているという事です。

PageRankのツールバーが灰色になっている時は、そのサイトはGoogleに登録されていない為にPageRank値が割り振られていないという意味です。またバーが白い時もありますがこれはPageRankが0という意味です。

ツールバーに表示される不正確な PageRank 値 - 推定PageRank

Googleツールバーを利用してPageRankを見ていると、新規に開設されたばかりのWebサイトなのに高いPageRank値が割り振られている事があります。このようなサイトを見つけたら、試しにそのURLをGoogle で検索してみて下さい。もしGoogle の検索で表示されないようであれば、そのPageRank は「推定PageRank」です。

推定PageRank とは、新規のWebページでも同じドメインに属する他のWebページや上位ディレクトリに位置するWebページに割り当てられているPageRankから、その新規のWebページに割り振られるであろうPageRankを推定して表示をしているのです。つまりGoogleツールバー上にのみ表示されている見かけの PageRank値です。実際の PageRank は表していません。Google に該当ページをインデックスさせて正しいPageRank値が算出されるようになると正常なPageRankを表示するようになります。この現象はGeoCities のような無料ホームページサービスのドメイン内にページを新規に開設したり、既に登録されているWebサイトに新規にディレクトリを作成しそこにページを開設した時に、上位ディレクトリから推定PageRankが割り振られて表示されることで発生します。

また、Google に登録されているのに PageRankが表示されなかったり、PageRank の値が正しく表示されていない時もあります。この場合はまず一端他のWebページにアクセスして(ブラウザの戻るボタンを押しても良い)再度同じページを訪れてみて下さい。あるいはブラウザを一端閉じてから再度同じページを訪れてもよいです。これにより正しい PageRank を知ることができます。

PageRank は掲載順位を決定する絶対基準ではない

Google の PageRank を「検索結果を決める唯一の基準」と勘違いされている方が多いようです。つまり「PageRank が高くないと - 外部ドメインからのリンク(inbound link - インバウンドリンク)が多くなければ絶対検索結果の上位に表示されない」と半ば諦めている方もいるようです。

確かに PageRank の値はGoogle検索結果の順位を決める際の1つの要素とはなっていますが、PageRankが絶対的な力を持って順位を決めているわけではありません。例えば、Yahoo!JAPAN のサイトは Googleツールバーの PageRankバーによると 9/10 あります。日本国内のサイトで PageRank 9 というのは最高値です。もし PageRank だけで順位が決まるのであれば、キーワードで「自動車保険」と入力をしても「タマちゃん」と入力をしてもYahoo!Japan がGoogle の検索結果1位に表示されるはずです。しかしそうではありませんね。

つまり、PageRank だけで順位が決まっているのではなくあくまで「順位を決める1つの要素にすぎない」という事です。Google はPageRank というページ外要因と、ページ内要因の2つを組み合わせてWebサイトの重要性を評価していますので、PageRank はもちろん重要ですがそれ以上にページ内に検索キーワードに一致する言葉があるか、検索キーワードとページのコンテンツが合致するか(テキストマッチ、キーワードデンシティー)、キーワード周辺の言葉(キーワードプロクシミティー)といったページ内要因が成立していなければ PageRank が高くても上位に表示されないのです。

これは Google が PageRank を検索結果順位を決めるどの時点で考慮しているかを見ると理解できるでしょう。Google は次のような手順でWebサイトの評価をして順位を決めています。

  1. 検索キーワードを含む全てのWebページをリストアップ

  2. ページ内要因の評価による順位付け

  3. インバウンドリンクの評価

  4. PageRank によって調整

PageRank やインバウンドリンクといったページ外要因が評価される前にテキストマッチ等のページ内要因が評価されている点に注目をして下さい。これはいいかえれば、ページ外要因が弱くてもページ内要因をきちんとGoogleに最適化させる事で上位を狙う事も可能だという事です。

(2003/01/27 執筆 / 2003/09/29 改訂 / 渡辺隆広)

COPYRIGHT © 1997-2021 渡辺隆広(わたなべ たかひろ) ALL RIGHTS RESERVED.

お問い合わせ(お仕事の相談、講演依頼など)

SEMリサーチ(www.sem-r.com)に掲載している文章及び図版の無断使用及び転載を禁じます。著作権侵害行為には厳正に対処します。

免責事項:SEMリサーチは、本記事中で触れている企業、商品、サービスの全て(情報)について、有用性、適合性、正確性、安全性、最新性、真実性に関する一切の保証をしておりません。各自の判断でご利用下さい。