日本で最も PageRank が高いサイト
SEO についての知識を持つ方で、PageRank をご存知ない方はほとんど居ないだろう。PageRank とは、Google のアルゴリズムの1つであり、Web サイトが張る「リンク」を「支持投票」とみなして、「リンクを受ける=支持されるページ=価値あるページ」という判断基準でページの価値を決める技術である。
この PageRank は、一般的には Google ツールバーをインストールした際に緑色のバーが表す10段階の数値として認識されている。ツールバーに表示される PageRank と、Google の重要なアルゴリズムとしての PageRank は異なるものであり、ツールバーに表示される PageRank は目安としての価値しか持たないことは、前置きとしてご理解頂きたい。
さて、このツールバーに表示される PageRank だが、日本のサイトでどこが最も高い値となっているかご存知だろうか。2008年12月1日現在、財団法人日本情報処理開発協会が運営するプライバシーマーク制度のサイトが PageRank10 で最大となっている。
日本のサイトでは、Yahoo!JAPAN や Google でも PageRank9 のため、プライバシーマーク制度のページは日本で最も使用されるサイト群に勝る評価を得ていることになる。他に、地球温暖化防止のためのチームマイナス6%のサイトも、PageRank9 と非常に高い評価を得ている。
この、プライバシーマーク制度およびチームマイナス6%のサイトに対する検索エンジンの評価の一部は、インターネットを使用する人ならば誰でも知っているサイトよりも高い、もしくは同様の評価といういることになる。
前述したとおり、ツールバーに表示される PageRank が直接的な価値を持つわけではない。しかし、これらのサイトが「プライバシーマーク」「温暖化」などではもちろん、「プライバシー」「チーム」などの検索キーワードでも上位表示されていることから、同サイトは実際に流入に影響する高い評価を検索エンジンから受けていると推測される。
2サイトの高評価の要因
「プライバシーマーク制度」「チームマイナス6%」サイトが高い評価を受ける要因は、2サイトが行う「バナー配布」にあると考えられる。
プライバシーマーク制度、チームマイナス6%の2サイトは、プライバシーマーク取得を行った団体、チームマイナス6%に加盟した団体に、その印としてバナー画像を張ることを認め、画像配布を行っている。
「個人情報保護」「エコロジー」と内容は異なるものの、イメージを向上させるものとして許諾されたサイトは、トップページなどにバナーを配置をしている。そして、許諾されるサイトの多くは高い価値を持つサイトである。そのため、高い価値があるサイトからのリンクが集まっているのである。
おそらく、この2サイトは SEO のためにバナー配布を行っているのではないだろう。しかしながら、2サイトが行った活動は SEO に直結する効果となった。SEO を意図しない活動が SEO に結びついているのである。この活動の中で、なにかひとつでも SEO 上の問題があったのならば、大きな効果に結びつく成果は得られなかっただろうが、問題無く SEO に結びつく状態になっている。
もちろん、今回の活動をそのまま行えるサイトはほとんどど無いだろう。ただ、本来は同様の SEO に繋がる施策が行えるにも関わらず、SEO の価値に結びついていない Web サイトが多い。たとえば、下記のような状態となっているサイトがある。
・どのページにリンクを張るか迷わせるバナー配布
・リンク用 URL に(SEO を考慮しない)測定 URL を使用
・リンクを受けるためだけのページを別に用意
・(SEO を考慮しない形の)Flash 等でのバナー配布
このような方法が取られた場合には、実際に、他サイトとの繋がりがあるにも関わらず、それが検索エンジンに評価されづらい形になるのである。
事例から考える「外部リンクが集まるサイト」
今回、事例としてあげた「プライバシーマーク制度」「チームマイナス6%」サイトは、それぞれの加盟団体との繋がりを上手く SEO に活用できている。
加盟団体が増えれば増えるほど、さらに価値あるリンクが集まり、検索エンジンからの集客にも繋がる。その検索エンジンからの集客がまた加盟団体を増やす効果にも結びつくだろう。
多くの場合、企業・団体の Web 上での活動は、なんらかの形で他の企業・団体のサイトと繋がりを持ちつつ展開していくものだろう。この繋がりを検索エンジンからも評価されるものにすることができれば、企業・団体を発展させるための活動が、そのまま SEO にも活用できることになる。そのようにして企業活動と SEO 効果が相乗効果を生んだ場合には、その両方が大きなプラスを得ることになる。
貴方のサイトは、企業活動を検索エンジンからの評価に結びつける機会を失っていないだろうか。Web サイトを通した他団体との繋がりを SEO に活用できているか、確認をお勧めしたい。
執筆:株式会社アイレップ SEM 総合研究所 辻 正浩
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