今年8月にNTT-X が開始した Inktomi の PFI (Pay for Inclusion:URL有料登録)サービス。MSN や goo で早く登録したい人はすぐにでも申し込んでしまいそうだが・・・。
今年の8月に、NTT-X が goo を通じて「サーチサブミット」というPFIサービスを始めました。米国や欧州では数年前から米Inktomi や米altavista等により提供されており SEO 施行する際のオプションとなっていた PFI でしたが、ようやく日本でも(日本語で)利用できるようになりました。
PFI を知らない方のために説明すると、PFI とは Pay for Inclusion、「URL有料登録サービス」です。ロボット型検索エンジンでは一般的に、ある特定のURLが必ず一定期間内にインデックスに登録されることは保証されません。またクローラーが再訪問するのも具体的にいつなのかはWebサイト管理者は全く知ることができません。しかし PFI を利用すると、インデックスへの登録とクローラーによる短期間での再クロールが「保証」されるのです。
例えばNTT-X の「サーチサブミット」は、(1)申し込み後72時間以内の登録、(2)最短48時間毎の再クロール、さらに (3) ダイナミックURL も登録可能 といったサービスを提供します。年額4,800円固定ですので、商用サイトを運営している方にはそれほど負担のかかる金額ではないわけです。
NTT-X - goo のWebサイトにて提供されているサービスですので、一見すると「サーチサブミット」は goo のみに有効な PFI にみえますが、そうではありません。米Inktomiの検索エンジンを利用している全世界の検索エンジンに対しても有効です。日本国内でいえば、MSN Japan、freshEYE、OCNサーチが該当します。サーチサブミット1つ申し込めば世界中の米Inktomi検索エンジンに登録されるのです!
MSN Japan, goo, OCNサーチ、freshEYE。とりわけSEOに興味のある皆さんが関心を寄せるのはMSN Japan でしょうか、サーチサブミットを利用すればすぐに登録されるのであれば試してみたい - そう考える方もいらっしゃるでしょう。ではこれから goo のサイトを訪れて申し込み・・・となりますが、ちょっと待って下さい。
先ほど「サーチサブミット」を申し込むと Inktomi採用の検索エンジンに反映される、と説明しました。「サーチサブミット」は goo のためのPFIではなく、InktomiのためのPFIです。InktomiのためのPFIということは、申込窓口は必ずしも goo だけではないということです。何故なら米国人が Inktomi の PFI を利用する時に goo は使いませんからね。
ここで米Inktomi の PFIサービス提供の仕組みを説明しましょう。米Inktomiは昨年末に米Yahoo!に買収されてしまいましたが、ここは検索技術開発会社です。自社では検索エンジンを運用せずOEMにてポータルサイトに検索エンジンを提供しています。これが日本でいえば gooやMSN ですね。このエンジンのインデックス登録について、米Inktomiは自社で Paid Inclusion (PFI と同義)サービスを提供しているわけですが、やはり自社で直接販売するのではなく世界中にいくつかある認定代理店(Authorized Reseller)を通して PFI の販売を行っています。
米PositionTech、米Network Solutoins、Terra Lycos、ineedhits.com、米MARKETLEAP、オーストラリアのTrellian といった会社が米InktomiのPFI販売認定代理店です。これに日本のNTT-X が加わります。どこの会社を通してもInktomi のPFI サービスを受ける事ができます。申し込み後72時間の登録や最短48時間の再クロールは Inktomi PFI 基本サービスですので、どの販売代理店を通しても一緒です。
微妙に違うのは価格。そしてもう1つは「付加価値」となるサービスです。
SEO で PFI について語られる時、一般的に米PositionTechの PFIを申し込むことを勧める人は少なくありません。筆者も海外WebサイトのPFIを利用する時は米PositionTechですし、一緒に仕事をした米国や英国のSEO会社もPFIでは米PositionTechを利用していました。SEO情報サイトでも大抵あげられるのは米PositionTech。なぜ PositionTech は人気があるか。それは、PositionTech の PFI では管理画面でクリック回数やクローラー最終訪問日など、様々なマーケティング情報を知ることができるからです。
SEM(検索エンジンマーケティング)においては効果測定も重要な事項です。何らかの検索エンジン対策を行ったのであれば、それに対してどれだけの成果を得られたのかを測定するプロセスは必要不可欠です。測定するポイントはいくつもありますが、PFIを利用したのであればその費用を支払った検索エンジンからどれだけのトラフィックを集められたのか、またどのような検索キーワードで訪れているのかを知ることは大変重要なことです。
米PositionTech の PFI を利用すると、アカウント管理画面が用意されます。この画面にログインすると、自分のが登録したURLについて様々な情報を取得する事ができます。まず、登録したURLについてクローラーがいつ訪れたのかの情報が表示されます。一番最後にクローラーが訪問した日付と共に、そのクロールが実際に成功したかどうかを確認する事ができます。さらに、掲載しているURLについて実際にInktomiリスティング上で何回クリックされたのかを知ることができます。管理画面上では日毎のクリック回数がグラフを用いてビジュアル表示されますので、一目で毎日どの程度のクリックがあるかを知ることができます。さらに画面上のグラフをクリックすると、実際にクリックされた時にユーザーに入力されていた検索キーワードも表示されます。登録URLのHTML文法チェックも行うおまけサービスもありますし、契約期間中にクロール対象とするURLを変更することも可能ですし、クロール対象URLを追加する事もできます。
PositionTech は同じPFI を提供する米Ask Jeeves、FAST の申し込みも受け付けています。PositionTech で申し込むと3社のPFIの管理画面をまとめて表示できますので、それぞれの検索エンジンのトラフィック量や検索キーワードの比較を行う事が可能です。
対して NTT-X経由でサーチサブミットを申し込むとどうなるか。このコラムを書くために実際に申し込みをしてみましたが、申し込みが完了すると領収書もどきのメールが届くだけ。それっきりです。米PositionTech の料金は$39。NTT-X は 5040円(税込み、1URL申し込みの場合)。お支払いはどちらもクレジットカードです。
・PositionTech で申し込むと・・・
クローラー訪問日を知ることができる
毎日のクリック回数がわかる
検索キーワードもわかる
URL はいつでも変更可能
・NTT-X で申し込むと
クローラーの訪問日はわからない
毎日のクリック回数はわからない
検索キーワードもわからない
URL は申し込み時から変更できず
Inktomi の PFI を利用する時に米PositionTech が勧められるのは何故かおわかり頂いたかと思いますが、要は PositionTech は PFI 利用者が何を知りたいのか、ということがよくわかっている会社なのです。
NTT-X は日本の会社で日本語が通じます。何かトラブルがあれば日本語で文句はいくらでもいえます。申し込みも日本語でOKです。言語の違いはあれど受けられるサービスは上記の通り。さて、どちらを利用しましょうか。
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