次のトピックに移ります。本日2つ目のトピックは、大手企業の大規模サイトのSEOやWeb制作段階でSEOを組み込む際によく質問されるフッター枠の扱い方です。
SEOにおけるフッター枠の扱い方について説明する前にまず、事例を見せましょう。例えば価格.com(kakaku.com)やテクノラティ(www.technorati.jp)、GMOインターネットのサイトをご覧下さい。いずれも画面下部のフッター部分に大量のリンクを並べています。価格.comはサイト内の主要カテゴリやグループ会社へのリンクを、TechnoratiやGMOインターネットはグループ会社が運営するサイトへのリンクを前ページにわたって貼り付けています。GMOインターネットさんは大量のウェブサイトを運営されていますが、いずれのサイトにも共通フッターを貼り付けていますね。
最近大手企業がこの種のリンクを貼り付けるケースが増加していますが、SEOに配慮したものです。つまり、今日のSEOにおいてはリンク対策(外部・内部)が非常に重要です。そしてその最たる基本要件は、検索にヒットさせたいキーワードをアンカーテキストにし、上位に表示したいページにリンクを張るということです。どんなキーワードでどこにリンクを張るかを自由に決められるサイトを多数運営しているのであれば、それらを相互にリンクさせてしまいたくなるのは当然ですね。
さてこの方法、リンクを張り合うことがスパムかというと全然そんなことはありません、問題なしです。なぜならドメイン取得やサーバ運営コストが低価格化した今日において1個人・団体が多数のウェブサイトを運営することは当然でしょうし、大企業であればブランドごとにサイトを持つことも当然ありうるでしょう。そして複数サイトを運営しているのであればトラフィックを相互に流すためにリンクを張り合うことは通常の経済活動において当然発生しうる行為です。検索エンジンはそういった通常起こりうる事象について何らかの不利益を与えるような施策を行うことは基本的にありませんから、本件について何か心配する必要は全くありません。
ただし、ここで企業が狙っているようなリンク効果がそのサイト数やページ数相応に享受されるわけではありません。例えば100万ページに同じフッターリンクをつけたからといって、100万ページ分効果が発生するのではありません。多数サイト/ページにわたって同じフッターリンクが張られていると、それは重複(duplicate link pattern)とみなされて、効果は減衰されます。どの程度の効果が失われるかを数量化して説明するのは難しいですが、まぁ、5割くらいは減らされると思ってください。
以上、複数サイトを持っている、各々が大量ページを持っているからといって好きなアンカーテキストでリンクを張り巡らしても期待するほど効果がでるわけではないことを覚えておきましょう。もっとも、張っても意味がないということはなく、クローラビリティ(検索エンジンがサイト全体をくまなく巡回させやすくすること)向上に寄与することに変わりありませんので、結論としては是非張ってくださいということになります。特に大量のページを抱えるECサイトや不動産サイトなどは時折クロールもれ(一部のページが検索エンジンにインデックスされない)が発生しがちなので、フッター枠内で相互にリンクを張り巡らせてクローラが巡回しやすくしておくことは大事なことです。
最後にちょっとしたテクニックです。全ページに同一フッターリンクを貼り付けても意味がないといいましたが、カテゴリ別やサイト別に異なるパターンのフッターリンクを用意する方法は悪くありません。例えばホットペッパーのサイトは東京エリアの居酒屋紹介ページには同じく東京エリアの他地域へのリンクを用意していますが、大阪エリアの居酒屋紹介ページんは同じく大阪エリアの他地域へのリンクを用意しています。ルールを作ってフッターリンクをパターンわけすればクローラビリティとサイト内リンクの最適化の両方を実施できるようになります。CMS(コンテンツ管理システム)を導入している場合は比較的導入しやすいかと思いますので検討してみましょう。外部ファイルをSSIやPHPでインクルードするのも良いでしょう。