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ユーザーの行動をセグメントに分けて効果的な分析をしよう - アイレップのSEMスタンダード

ユーザーが Web サイトを訪れる目的は様々である。何かの情報を探しているうちにたまたま辿り着いた人だったり、商品を買おうとしていくつかのサイトを比較している人だったり、もしくは以前に会員登録をしていて何度もサイトを訪れている人なのかもしれない。

当然、目的によってユーザーのサイト内での行動は違ってくるので、例えばある広告の効果を見る場合にユーザー全体のトラフィックデータを眺めただけではあまり効果があるように見えなくても、特定の行動をしたユーザーグループに絞り込んでデータを見ると非常に効果が高かった、ということも起こり得るのである。もちろんサイトの性質や業態によって有効なセグメントも変わってくるし、それだけでなくデータを見る人が何の担当者で何のデータを見たいのかによってもセグメントの切り口は変わってくる。

このようにユーザーを様々な切り口でセグメント化し、ユーザー全体の数値では見ることのできない個別のユーザー行動を見ることによって、より的確な Web マーケティング施策を展開していくことができるのである。しかしながら、ユーザーセグメント別の分析は重要であると認識しつつも、なかなか実践できていないのが実情ではなかろうか。重要性を再確認するためにも、ここではいくつかのセグメントの例を挙げてみたい。

最も代表的なセグメントの分け方として挙げられるのが、新規ユーザーとリピーターである。Web 解析ツールではユーザーの Cookie に情報を持たせて新規ユーザーとリピーターを判別しているものが多いため、比較的容易にセグメント化が可能である。

E コマースサイトであればリピーターとして何度も商品を購入してくれるユーザーが望ましいので、新規ユーザーとリピーターでサイトへの流入経路や閲覧しているコンテンツにどういう違いがあるかなどを分析し、新規ユーザーをいかにリピーターにしていくかが重要になる。また、会員登録をしてログインすると会員専用コンテンツが閲覧できるようなサイトの場合には、会員と非会員という分け方も考えられる。

会員登録数を増やしたい場合に、既に会員となっているユーザーのトラフィックも含まれているとブックマーク訪問が多かったり、会員用ページのページビューが多かったりサイトに滞在する時間も長めになるといった可能性があるため、非会員のみのセグメントに着目することでより効果的な対策を見出せるようになる。

同じく重要なセグメントとして、サイトに訪問したユーザーがサイト内でこちらが望んでいる成果を上げた(コンバージョンした)かどうかというセグメントの分け方がある。サイトでの成果は商品の購入なのか資料請求なのかサイトによって異なるが、成果を上げたユーザーのセグメントとそうでないユーザーのセグメントを比較することは極めて重要である。

またリード獲得型のサイトにおいて、サイトに来たユーザーがすぐに申込をするのではなく、まずはメールマガジンを登録して、次に資料請求をして、最後に申込みをするといった段階を踏むような場合では、それぞれのステップで成果を上げたユーザーをセグメント化してデータを比較することで、いかに次のステップに進んでもらうかを検討するといった細かい分析をすることができる。

リスティング広告を利用している場合には、ユーザーが検索した検索キーワードの種類別にユーザーをセグメント化して比較することも有効である。例えばコンバージョンに直接結び付いていなくてもサイトでの滞在時間が長かったり1回の訪問で閲覧しているページ数が多かったりする種類のキーワードは、後々のコンバージョンに結び付いている可能性が高いと考えることができ、出稿するキーワードの選定に役立てることもできる。

反対にすぐにサイトから離脱してしまう種類のキーワードについては、ユーザーの探したい情報とサイトのコンテンツとがマッチしていないということになるため、コンテンツの改善などに役立てることもできる。

その他にも、サイト内で時期に応じて様々なキャンペーンページや特集ページを作成しているような場合、こういった特集ページを見たユーザーと見ていないユーザーとの行動を比較することで、特集ページの効果を見ることもできる。また、E コマースサイトでは、購入金額が高いユーザーのみをセグメント化して他のユーザーの行動と何が違うのかを見ることで、ユーザーの購入額をより多くするための方法が見つかるかもしれない。

ここまでユーザーをセグメント化する有効性を伝えてきたが、Web 解析ツールによってはセグメント化の機能があるものとないものがあり、また設定したセグメントを過去データに適用できる場合とそうでない場合があるので、ユーザーセグメントの設定がどれだけ柔軟にできるかといった視点で Web 解析ツールを見てみることも大事なポイントと言える。

執筆:株式会社アイレップ Web 解析グループ 柏崎貴史

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