SEMリサーチ

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SEO: ページ速度はどれくらい重要な要素か?

2010年4月にGoogleは、ランキングアルゴリズム計算時のシグナルの1つとしてページ読込速度を発表しました。同時にまた、ページ読込速度の影響範囲はほんの僅かなサイトであり、それ自体の影響も大したことはなく、あくまで検索クエリとの関連性が最優先されることも明らかになっています。

一方で、相変わらずページ速度やサイトスピードとSEOの関係についての質問はよくされます。一部の会社が「ページ速度の上昇によって順位が上昇します」といった営業をされていて、それに対しての相談や質問だったりもしますし、あるいは純粋な疑問として尋ねられる場合もあります。

きっと多くの人が勘違いをしているのですが、第1に2011年1月現在、Googleが公式にページ読込速度をランキングアルゴリズムに組み込んでいるのは、英語圏(google.com)です。日本語(google.co.jp)ではありません。よって、日本語サイトを事例にあげて「ページ読込速度を改善することで順位が上がりました」という説明それ自体がおかしい、という認識を持って下さい。

繰り返しますが、ページ読み込み速度がGoogle日本語検索で導入されている公式事実はありません。もし営業会社が、日本語サイトがページスピード改善によって順位が上がったという事例を提示してきたら、「怪しい」という前提で対応した方がいいです。

第2に、とはいえGoogleは非公式ながら他の地域・言語でもテストを実施しているかもしれません。もしかしたら数ヶ月も前にgoogle.co.jp でもページ読込の速度を順位決定のシグナルとして用いているかもしれません。それが仮に真実だったとしても、過去数ヶ月において、『ページ読込速度を原因としたランキング変動が起きていた』と考えられる事実や、それが要因と推定される事象は確認できていません。つまり、仮にgoogle.co.jpにおいてサイトスピードが加味されていたとしても、検索順位にはほとんど影響していないということです。

だいたい、英語圏でもサイトスピードを主要因として順位が改善したと考えられる事例がないのです。それくらい、順位に与える影響は、与えているかどうかわからない程度に些細なものなのです。

一般論として訪問客のサイト体験を考慮してページのロード時間を短縮することは良いことです。しかし「順位を上げるために」SEOを主目的としてページの読込の改善を検討するのであれば、上記の点も考慮して慎重に対応を行って下さい。繰り返しますが、公式には英語圏のほんの数パーセントのサイトしか影響していないようなお話です。google.co.jp とは関係ありません。

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