SEMリサーチ

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スマートフォン向けサイトを検索エンジンに最適化するためのポイント

GoogleがスマートフォンUAを持つクローラを公式に発表したことで関心を持つ方も増えてきたようです。ここで、スマートフォン端末に最適化したウェブサイトの扱い方について、よく受ける質問について簡単に回答を記しておきます。適当なタイトルが思い浮かばなかったのですが、最適化というか、検索エンジンにどう認識させるかという話だと思ってください。これは広義でいえば「スマートフォンSEO」なのかも知れませんが、どちらかというとデバイス向けを横断した、サイト全体のSEOだと私は思います。

Q) UA判別して訪問者をPCサイトとスマートフォン用サイトに振り分ける場合、リダイレクトは301または302のどちらが良いですか?

A) Google公式ブログで過去に「301リダイレクトを利用する」と記されていますが、同社のJohn Muller 氏によると、実用上はどちらでも構わないとのことです。まとめると、スマートフォンユーザーとPCユーザーの振り分けは機能上は301/302どちらでも良いですが、一般的に301リダイレクトで良いと思います。

ちなみにdocomo向け従来携帯電話サイトの振り分けもどちらでもいいのですが例外的に302が推奨されます。



Q) PCサイトとスマートフォン向けサイトでURL構造が異なります(例 サブドメインやディレクトリで区切っている等)。この場合、各々のスマホ向けページを、PC向けのURLにcanonicalで設定すべきですか?

A) PC/ケータイ/スマホで全て同一URLで管理して、UAで振り分けるのが理想である(Googleの推奨は、同一URLによる運用・マルチデバイス対応)、という前置きをした上で、そうではないケースでどうするか。

これはJohn Mueller はじめ、SESやSMXに出てきたGoogleのスピーカーやSEM系のスピーカーがアドバイスとして説明している機会が何度もあるのですが、基本的に rel="canonical" を用います。

従来なら robots.txt でスマホ向けサイトを丸ごとブロックしても良かったのですが、Googleが公式にスマートフォン向けサイトのクローラを発表したことですし、PC向けページをcanonical URL(正規化URL) として、スマホ向けページそれぞれからPCの対応ページへ向かうようにcanonicalを ( rel=canonical link=PCの該当ページ)と記述しましょう。

John Mueller - @Manish We mention 301 on http://googlewebmastercentral.blogspot.com/2011/02/making-websites-mobile-friendly.html -- in practice, either 301 or 302 would work as long as you're only redirecting mobile users (or mobile Googlebot). We recommend not redirecting desktop users (or the normal Googlebot). [John Mueller, Webmaster Trends Analyst at Google Switzerland, Google, source]

John Mueller - @Paul If you have "smartphone" content (which we see as normal web-content, as it's generally a normal HTML page, just tweaked in layout for smaller displays) you can use the rel=canonical to point to your desktop version. This helps us to focus on the desktop version for web-search. When users visit that desktop version with a smartphone, you can redirect them to the mobile version. This works regardless of the URL structure, so you don't need to use subdomains / subdirectories for smartphone-mobile sites. Even better however is to use the same URLs and to show the appropriate version of the content without a redirect :). (...) With that in mind, we try to avoid showing traditional mobile content in our normal search results, you don't have to do anything special to prevent that from happening. On the other hand, we may show smartphone-optimized content in our normal search results, because it is generally normal HTML content that can be viewed with any modern browser. To prevent that from happening, the rel=canonical can be used to make sure that we focus on the desktop URL. For smartphone users, the redirect from the desktop version to the smartphone version makes sure that they have access to the optimized content. [John Mueller, Webmaster Trends Analyst at Google Switzerland, Google, source]

スマートフォン向けサイトとPCサイトの関係性を検索エンジンに伝達するための措置は必要であることは覚えておきましょう。



Q) スマートフォン向けサイトは3G回線を考慮して、PCサイトほどコンテンツを充実させていない。この場合、rel=canonical でスマホページから対応するPCページへ記述をしてよいのか。

A) 問題ありません。rel=canonical はコンテンツの一部が同じである場合にも設定するものですので、PC を canonical URL と定めて、スマホページの方には canonical リンク先:PC URL を記述して下さい。関係ないページを canonical でまとめないよう注意して下さい。



Q) スマートフォンデバイスからの検索とPCからの検索で検索結果に違いはあるのか?

A) 現状よく見ていると実は結構あるのですよ、違い。これは使用しているキャリアやデバイス、アクセス元エリアによって、Googleの検索結果は変わっています。

例えば T-mobile 端末(HTC Amaze 4GやEVO 3Dなど)から Googleにアクセスすると、T-mobileキャリアが用意するコンテンツがキーワードと合致する場合、そのデジタルコンテンツへのリンクが自然検索結果に自動挿入されます(例 ringtone (着信音)と検索すると、自然検索の4~6件目付近に、T-mobile の着信音コンテンツが表示される)。

また、スマートフォンからGoogleを利用している場合(位置情報を共有していたり、ログインしていると)検索結果はローカル系が増える場合もあります。常時携帯されているデバイスですから、外出先で検索した時にそのエリアのビジネス(飲食店など)が検索結果に出やすくなるためです。

一方でMotorola Atrix (AT&T)から検索しても、ほぼ通常のGoogle検索結果でした。しかしAT&T向けMotorola 端末でもDroid 3 と Atrix は検索結果が微妙に異なります(理由不明)。

Android端末とiPhone でもキーワードによって検索結果が違う場合があるのですが、これはどうもアクセスしているGoogleが違う?(現在確認中。アクセスするサーバではなくて利用するサービスが違う模様)。

以上、海外のキャリア/デバイス事情ですが参考までに。

(いずれの調査も2011年8月と同11月に実施。T-mobile端末はT-mobileのSIMとdocomoのSIMで検証、iPhone はb-mobile)



Q) GoogleはアクセスしたページがPC向けか、スマホ向けか、どう判断しているの?

A) 現時点でGoogleが両者を判断する術はありません。PCサイトもスマホサイトも同等技術を利用している(≒デスクトップ向けブラウザでアクセスできる)ので、両者を技術的に識別することは困難です。だから、2012年にも、それを区別するための新仕様が発表されるのではないでしょうか、というのが個人的な意見です。



Q) スマートフォン向けサイトのインデックスを効率化したい。XMLサイトマップは携帯用のもので良いのか?

A) スマートフォン用サイトはPCと同等に扱われるので、PC向けのXMLサイトマップで問題ありません。PC・スマホ双方を同一URLで管理している場合は、1つの(共通の)XMLサイトマップとなります。『Googleは、PCサイトとスマートフォンサイト(あるいは、iPhone UA に対してサーバが返してくるコンテンツを同等に扱う』という点を理解して下さい。これは同時に、Googleはクローリングしたサイトがどちら向けのサイトかを識別できないことも意味しています。



Q) スマートフォン向けのサイトだけしかないんだけど、SEOどうするの?

A) 知らない。

* 現時点ではPCサイトと戦うしかないので不利、とは言える。



Q) Googleの動きはわかった。キャリアはどう見る?

A) キャリアはパートナーのマネタイズのため、という目的で独自の戦略(=スマホコンテンツ検索)をやるという選択肢があると思います。彼らは世界中の情報を整理するというミッションでビジネスしてないので。ここはGoogleとは違います。つまり、キャリアから、CPへの送客を支援するためのCPスマホサイト検索サービスくらいなら登場するかも知れません。




[以下、Googleがユーザーから募集した質問について、私が(勝手に)回答します]

Q) PCサイトの一部はスマホに対応させておらず、検索結果で該当するURLをクリックした時は自動的にスマホ用サイトトップにリダイレクトするようにしている。リダイレクトスキップにより、検索キーワードと関連性が低いページ(キーワードに合致するPC用ページではなく、スマホトップが出てくるから)にリンクされてしまうのか?

A) その通りですが、「キーワード検索して、PCページをクリックしたつもりなのに、関連性が低いスマホ用トップページにリダイレクトされる」というのは、Googleの今回の発表とは関係なく、サイトの仕様によって(従来から)発生しているユーザエクスペリエンスの問題です。それが訪問者によって好ましくないと感じるなら、そのサイトの仕様を変更することをおすすめします。つまり、トップページにリダイレクトするのではなく、PC用に対応するスマートフォン用ページを作成して、そちらにリダイレクトして下さい。



Q) 検索結果に表示されるタイトルやスニペットもスマートフォン用ページのものが反映されることになるのでしょうか?

A) canonical で指定した場合(通常はPC URL を canonical URL とするので)検索結果に表示されるスニペット等もPC と同じになります。



Q) 同一URLでページ内部がPC用とスマートフォン用に書きかわる仕様の場合、問題点はあるでしょうか?

A) 問題ない、むしろそっち推奨。

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