グーグルは2013年6月11日、スマートフォンユーザーの検索体験向上を目的として、誤った設定を行っているスマホ向けサイトに影響する検索ランキングの変更を実施する予定があることを明らかにした。具体的な導入時期は明らかにされていない。この変更は、ウェブ、画像、動画などバーティカルを含むすべての検索結果に影響する。[サイト運営者の方向けの関連記事:解説:Googleが検索順位を引き下げようとする「設定が不適切なスマートフォン向けサイト」とはもあわせてご覧下さい]
昨年から当サイトや講演で指摘してきた通り、スマホ向けサイトを適切に検索エンジンに登録するための手続きにおいて、誤った設定を行っている企業が非常に多い。こうした不適切な設定を行っているサイトをその指示に従ってインデックスすると、結果的にスマホ検索ユーザーの検索体験の質が大きく損なわれるため、Googleは検索ランキングを調整する決定をした。
同社はランキング変更の影響を受けるケースの一例として、間違ったリダイレクト設定を挙げている。たとえば、スマホ検索ユーザーがPC版サイトにアクセスしてきた時にスマホ版サイトにリダイレクトしているサイトは少なくないが、この際にアクセスしてきたページを問わずスマホ版トップページに転送する設定を行ってケースだ。
たとえば「スカート 通販」や「バッグ 通販」と検索した際に、本来はそれぞれ検索キーワードと関連性が高いページ、すなわちスカートカテゴリのページやバッグカテゴリのトップページにユーザーを誘導するのが適切であるが、ここにスマホ用のリダイレクトを入れた時に、どちらのクエリでも総合通販トップページに誘導してしまうといった具合だ。検索時に入力したキーワードと、最終的に到達したページとの関連性が低いために、ユーザーによっては非常に煩わしく感じられるケースだ。こうした事態を排除するために、スマホ向けに検索結果を表示する際には当該ページの調整が行われる。
他にもグーグルは、「携帯端末からのアクセス404を表示する」「Googlebot-Mobileの不適切な取扱、たとえばスマホ向けクローラであるGooglebot-Mobileをフィーチャーフォン向けサイトにリダイレクト→フィーチャーフォンサイトからデスクトップへリダイレクト→フィーチャーフォンへリダイレクト→・・・と無限ループするもの」「スマホ環境では動作しない動画を埋め込んだサイト」などを挙げている。
なお、Googleによると、今回の順位調整は"demotion" (下方修正、調整)という措置により検索上位に表示しないようにするという。技術的な問題を抱えたモバイルサイトを提示することで検索体験を大きく損なうリスクを回避するために、あらかじめ"上位に表示されないよう"に順位を調整するという。
また、検索結果画面のどこに表示するか(出力、Presentation process)を確定する過程で実施される。つまり本件はあくまでスマホからの検索ユーザーに対して何位に表示するかを調整するためのものであるから、PCからの検索時には本件による影響は発生しない。
検索意図と関連性が低いページに誘導したり、意図しないページを表示してしまうことは、検索ユーザー、サイト運営者、Google というモバイルウェブに関わるいずれの当事者にとっても幸せな状態ではない。サイト運営者が適切に来訪者をもてなすよう努力することで、この問題を解消することができる。SEOという視点ではなく、サイト運営と来訪者のユーザー体験という視点でどうすべきかを考えてみるといいだろう。
スマートフォン向け検索でのランキングの変更について
http://googlewebmastercentral-ja.blogspot.jp/2013/06/changes-in-rankings-of-smartphone.html
※ 追記を整理させて頂きました (2013/06/12 13:40) 別ページを設けました「[解説] 米Google、技術的問題のあるスマホ向けサイトの順位を下げる方針を発表あわせてご覧ください」
#1
Googleの検索インデックスは1つです。PC向け、スマホ向け分け隔て無く、1つのインデックスで管理します。本発表は、決してGoogleがスマホ向け独自の検索エンジンを構築して、そのランキングを変更するという意味ではありませんので注意して下さい。このGoogleの発表は、スマホから検索が行われた時に表示する検索結果において、ユーザ体験を損なう恐れがあるスマホ向けサイトの検索順位を調整(下方修正)という意味です。スマホ検索ユーザー向けの画面表示の変更となります。
#2
この辺りの話は昨年後半から散々記事にしてきているので、過去の記事を参照(例えば[SEO] スマートフォンと検索エンジン Q&Aなど)頂くか、6月26日開催のSEO for スマートフォンセミナーにご参加頂ければと思います。
#3
例えば「東急ハンズ 渋谷」や「寿司 出前」「{家電製品名}」といった検索クエリ。同じ検索クエリでも、これがPCから行われた検索なのか、モバイルから行われた検索なのかによって検索意図(query intent)は異なるのです。異なるのですから、そのユーザーにあわせて最適な体験を提供できるよう、ユーザインターフェースやコンテンツを設計しなければなりません。現状、こうしたインテントを考慮しています、という発想が反映されたサイトは極少数なのが現状です。
無論、スマートフォンやタブレットが急速に普及していく中で、それにどのように対応していくべきかの情報やそれが共有される場面も時間も圧倒的に不足している中では致し方ないのでしょうが、しかし、もうちょっと何とかならんものなのでしょうかと思うわけです。そんなわけで、Googleがモバイルユーザーの体験を損なうサイトを検索上位に表示しないようにするという方向は大いに賛成です。