SEMリサーチ

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リンクの修正と Google が与える信頼性評価の話

この話題は、信頼性のスコアリング手法として新しい事柄ではありません。一方で、この領域に少しでも関心のある方の中には、いろいろな疑問や質問をお持ちになるかも知れません。それを踏まえて、簡単に解説をしておきます。

『(Googleが最初に発見してから)リンクを修正すると、そのリンクの信頼性が下がる(以前ほど信頼されなくなる)』ということですが、先に結論を申し上げますと、”ほんと、どうでもいい”話です。以下、その説明をします。

本当にどうでも良いのでスルーしていたのですが、日本語で紹介された他のブログをご覧になられて、あれこれ疑問や質問を思い浮かべた方もいらっしゃると思います。そこで、本件はどのように理解すればよいのかについて、たとえ話を交えつつ解説したいと思います。

例1)

SEOの神様・辻正浩さんの肩書(2014年6月時点)は「SEO専門家」です。ある日、彼が「ニート」に変わったら、みなさん「あれ!?」と思いますよね。SEO専門家という肩書だった時点と、ニートという肩書に変わった時点で、僅かながらに辻さんに対する信頼性が変わる、変わらざるを得ません。あの辻さんであることに変わりありませんし、彼の SEO の力量はその時点では全く変化がないでしょう、しかし「代表取締役」「SEO専門家」だった彼が「ニート」と自ら名乗りはじめたら、ええ!?辻さんどうした!って思わざるを得ません。

例2)

ある日、自宅に帰ったら部屋のレイアウトがすっかり変っていた。妻が気分転換に変えてみたらしい。数日したらもう慣れた。

…という話です。どんなものであれ、何かが変更される、以前のものと姿形が変われば、その対象に対する評価が少なからず変化することは当たり前の話です。同時にそれは一時の些細な変化に過ぎず、その対象が以前と同じものであると判断できれば以前同様の信頼を置くことになるでしょう。

リンクのアンカーテキストを「旅行のことなら辻商事」から「海外旅行 辻商事」という文言に変更したならば、変更直後は評価が調整されるものの、いずれ時間経過とともに元通りになるに違いありません。一方で、「旅行のことなら辻商事」から「海外旅行、旅行、国内旅行、格安旅行のことなら旅行代理店の辻商事」と変更したのであれば、時間経過が経過しても元通りの信頼性にはならない、むしろ悪くなるはずです。一旦変更したら、二度と元通りの信頼性は手に入らないという話ではありません。

話を戻すと、発言主の Pedro Dias 氏は、アンカーテキストのことを指したのか、掲載位置を指したのか、それともリンク先 URL のことを指しているのかは定かではありません。いずれにせよ、上記の通り、「何かが変われば、その瞬間において以前と完全同一の信頼性は与えられない」という至極当然の理屈を、さもSEO的に含みがあるかのようにツイートされているだけです。あくまで「理論上は」「相対的に」 Google のリンクの信頼性評価に影響があるという話ですから、SEO の実務においては完全に無視して構いません。

事実、彼は次のように補足ツイートをしています。

SEO 担当者が気にする必要もなければ、そもそも悪い、ネガティブな影響があるわけではないと彼自身が補足する通り、本当にどうでも良い話なのです。

リンクというのは、1つ1つ単体によって評価されるものではありません。その文脈や設置されたページレベル、サイトレベルの評価も考慮して総合的に決定されます。つまり、ある1つのリンクの(何かを)修正したところで、1か所の変更そのもので何か不利益が発生する程度に大きく評価が修正されることなどありえないわけです。

この話題は、個人や企業の信用度を点数化するクレジットカードのスコアリングなんかで考えて頂いてもいいかもしれませんね。皆さんの住所や勤務先、年収などが変化すれば、あなたのスコアリングも少しは変わるでしょう。以前と大して変わらないものであれば、あなたには影響がないし、(年収が大幅に増減するなど)大きな変更が加われば信頼性の評価も変わるでしょう。

以上をまとめますと…

  1. 信頼性に関するスコアリングは、対象の一部に変更が加えられれば変更するのは当然の話
  2. 相対的な変更に過ぎないので、それ自体は憂慮すべき事柄ではない
  3. つまり SEO 的にどうでもいい話なので、気にする必要は全くない

ということです。この手のお話は意外と皆様から質問を受けることが多いので、まとめておきました。何度も繰り返しますが、SEO 的にどうでもいい話です。こんな細かなことをいちいち考えて Webサイト運営などやってられませんから! 

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この手の、「一般のSEO担当者にとってはどうでも良い話」はできるだけ取り上げたくないのですが、今回は他のブログ運営主の方が中途半端な説明で取り上げていましたので、解説記事を作成しました。勘違いされる可能性のある情報を取り上げる時は、十分に配慮した記事作成を心がけるようにしたいと思います。

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