SEMリサーチ

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LookSmart - サブサイトリスティングについて

検索会社 Looksmart Japan が提供しているサブサイトリスティング (Subsite Listing)はCPC型の有料リスティングサービスです。

有料リスティング (Paid Listing) というと、最近注目されているグーグルのアドワーズ広告やオーバーチュアのスポンサードサーチを思い浮かべる方が多いと思いますが、ディレクトリー型検索エンジンを提供しているLookSmart Japan も実は有料リスティングを提供しています。

LookSmart が提供する有料リスティングは、サブサイトリスティング (Subsite Listing) と呼ばれます。サブサイトリスティングはクリック課金型(Cost Per Click、以下CPC型)の有料掲載サービスで、ODN、MSN、BIGLOBE、Excite、フレッシュアイ、そしてこれらの提携パートナーサイトである Plala、Hi-ho、DION の検索結果画面上にWebページの広告を掲載する事ができます。

先に列挙したポータルサイトの中には、サブサイトリスティングを掲載する為の広告枠を用意しているサイトもありますので、サブサイトリスティングで掲載する事で確実に検索結果の上部枠にWeb広告を掲載する事ができます。

また、サブサイトリスティングはCPC型の有料リスティングですので、実際にクリックされた回数分だけの広告費用を支払えばよく、ROI(Return on Investment、投資利益率)に優れた検索エンジンマーケティング(SEM)ツールの1つといえます。

さて、ここまで簡単にLookSmart のサブサイトリスティングについて説明してきましたが、実はグーグルのアドワーズ広告やオーバーチュアと比較して掲載場所について非常にシステムがわかりにくい側面を持っています。そこでこのサブサイトリスティングの仕組みについてもう1歩踏み込んで行きたいと思います。

サブサイトリスティングという商品の性格とその位置づけ、掲載枠について理解するためには、LookSmart という会社そのものと同社が提供する各商品のマーケットにおけるポジショニング(市場における商品の位置づけ)を知ることで理解が深まります。そこでまず LookSmart という会社についてお話します。

LookSmart はディレクトリー型検索エンジンを構築している会社です。LookSmartは自社で検索エンジンを直接運営しているわけではありません。LookSmart はデータベース/リスティングの配信会社です。ディレクトリー型インデックスを自ら構築して、それを他社に対して提供するのです。実際にユーザーがLookSmartのデータベースを使った検索を行う事ができるのはLookSmart と提携をしてLookSmartディレクトリーを採用している会社です。先述した Excite や freshEYE といったポータルサイトです。

このLookSmart のディレクトリーに Webサイトを登録する為には、同社が提供しているSubmit-A-Site(サブミット・ア・サイト)サービスを利用します。このサービスを利用するとLookSmart のエディターチームが審査を行い、その審査に通った場合のみLookSmart のディレクトリーに掲載してもらうことができます。つまりペイドレビュー(Paid Review)(有料審査サービス)です。審査に通ると、LookSmartネットワークに配信される - つまりLookSmart の提携ポータルサイトにも配信されるため、各ポータルサイトからの集客を図る事ができるようになるわけです。

ところでサブサイトリスティングはCPCの有料リスティングサービス、Submit-A-Site は5万円ぽっきりのペイドレビューサービスです。では考え方によってはSubmit-A-Site の方が安く提携ポータルサイト上に掲載できるのではないかと考える方がいるかもしれません。

サブサイトリスティングは次の点でSubmit-A-Site とは性質が異なります。Submit-A-Site はWebサイトの特定の1ページ(トップページ)のみが掲載できるのに対して、サブサイトリスティングは複数URLが掲載できる点です。Submit-A-Site は「ディレクトリー型検索エンジン」への登録ですから掲載可能な URL は 1つ - 通常はトップページ - ですがサブサイトリスティングはトップページ以外の複数の URL を一度に掲載可能なのです。

ここがポイントです。サブサイトリスティングは検索エンジンから直接、商品案内ページにユーザーを誘導できる点に特徴があるサービスなのです。

アマゾンジャパンのサイトを例にとって説明をしましょう。例えばユーザーが検索キーワードとして「音楽CD」と入力したのであれば、検索結果画面上にアマゾンジャパンのトップページへのリンクがでてきても問題ないでしょう。1クリックでユーザーはアマゾンジャパンのトップページに移動する事ができます。しかし例えば検索キーワードとして「モーニング娘。 CD」と入力された場合、検索結果画面に表示させるウェブサイトとしては、アマゾンジャパンのトップページよりも、モーニング娘。のCDを紹介している商品案内ページへ直接リンクをした方がユーザーにとって便利なのです。

もし検索キーワード「モーニング娘。 CD」に対してアマゾンジャパンのトップページを表示した場合、ユーザーは検索エンジンからアマゾンジャパンのトップページに移動し、そこから何クリックをすることでやっとモーニング娘。のCD商品案内ページに辿り着くことになるのです。いえ、辿り着くことができれば幸運ですが、もしかしたらアマゾンジャパンのトップページからモーニング娘。のCD商品ページへ辿り着かないユーザーがでてくるかもしれません。この場合アマゾンジャパンにとって機会損失 (Opportunity Cost) が発生します。

この問題を解消できるのがサブサイトリスティングです。例えば「モーニング娘。のCD」「モーニング娘。の写真集」といった異なるURLを同時掲載することができます。このように商品別のURLを複数登録すれば、これらのキーワードに対応した商品案内ページをリスティングする事が可能になります。ユーザーはこの掲載Webサイトをクリックする - この1クリックで目的とする情報が存在するWebページにアクセスできるのです。

検索エンジンから目的の情報にダイレクトに誘導することで検索サービス利用者の利便性を高めること - これがサブサイトリスティングのコンセプトであり、Submit-A-Site の問題点を解消するために位置づけられた商品でもあるわけです。広告主から見ると Submit-A-Site もサブサイトリスティングの違いがわかりにくいですが、このように商品ポジショニングは大きく異なる上広告主が享受するメリットも異なるわけです。

この点を押さえた上で、ポータルサイト毎に異なるサブサイトリスティング掲載位置について説明をします。サブサイトリスティングはCPC型の有料リスティングですので、この言葉を聞くとグーグルのアドワーズ広告やオーバーチュアのように検索結果画面の上部に広告枠が設けられていて希望するキーワードで確実に広告枠に掲載できるかのような印象を持つ方がいるかもしれません。

しかし実際はそうではありません。まずサブサイトリスティングはアドワーズ広告やオーバーチュアのように広告を表示させるキーワードを個別に登録できるわけではありません。検索キーワードがサブサイトリスティングで掲載する見出しまたは紹介文に含まれている場合のみです。見出しと紹介文も作成するのはLookSmartエディターチームですので広告主がコントロールすることはできません。この点は注意しましょう。

さらに本題の掲載位置ですが、実はLookSmart は提携先ポータルサイトによって掲載場所が大きく2つに分けられます。それは「広告枠内表示型」と「検索内表示型」の2種類です。

「広告枠内表示型」は、ポータルサイトが設けている検索結果画面内における広告表示枠内に掲載される方式を指します。この広告枠内表示型を採用している提携ポータルサイトは、BIGLOBE、Excite、フレッシュアイ、Hi-ho、DIONです。これらポータルサイトはサブサイトリスティング広告主のWebサイトを検索結果画面上部にユーザーに対して明示された広告枠内に表示します。

一方、「検索内表示型」は特にサブサイトリスティング用の掲載枠が設けられているわけではなく、ポータルサイトが提供する検索エンジンの検索結果一覧の中に掲載されます。具体的にはLookSmart のディレクトリー型検索エンジンが表示する検索結果一覧の中にサブサイトリスティングもミックスされて表示されます。つまり他の検索エンジン、例えば Google や Inktomi、infoseek といったロボット型検索エンジンが表示する検索結果の中にミックスされて表示されるのではなく、LookSmartのディレクトリー型検索エンジンが表示するディレクトリー検索結果画面の中にサブサイトリスティングがミックスされて表示されるのです。 ユーザーに対して広告であることが明示されていない点が「広告枠内表示型」と異なる点です。

この「検索内表示型」を採用しているのはMSNです。MSN のサブサイトリスティング表示方法について細かくみて見ましょう。MSN にアクセスして、同じく画面上部の検索ボックスに「化粧品」と入力して検索をしてみて下さい。

MSN の検索サービスの検索結果はちょっと複雑です。1. おすすめサイト、2. スポンサーサイト、3. MSNサーチのサイト、4. Web ページ と4種類の検索結果が順に表示されます。1. は「MSN のパートナー、スポンサーによるサイトからも選ばれた、MSN サーチのエディターがおすすめする特に最新で役立つと思われるリンク」(MSNより引用)です。2. スポンサーサイトはオーバーチュアの広告主サイトで、検索キーワードに対して入札額の高い上位3サイトが表示されます。3. MSNサーチのサイトはLookSmart のディレクトリー型検索エンジンから合致したものを、4. Web ページ はロボット型検索エンジン Inktomi からの検索結果です。

サブサイトリスティングが掲載されるのは 3. MSNサーチのサイト です。LookSmart のディレクトリー型検索エンジンからの合致サイトの中にミックスされてサブサイトリスティング広告主サイトが表示されます。サブサイトリスティングとそれ以外のLookSmart掲載サイトの見分け方は一覧のサイト毎に表示されているURLに注目をすれば見分けがつきます。listings.btlooksmart.com という文字列が入っているものがサブサイトリスティングです。

このように「検索内表示型」の表示方式を採用しているポータルサイトでは、元々採用していたディレクトリー型検索エンジンLookSmartの検索結果の中にサブサイトリスティングを混ぜて表示をするわけです。この場合、LookSmartのデータベースに登録されているWebサイトはサブサイトリスティングの利用有無に関わらず検索キーワードに対する適合度順に掲載順位が決まります。従って「検索内表示型」のポータルサイトにおいては検索キーワードによっては必ずしも検索結果の上位に表示されるわけではありません。

 「検索内表示型」を採用しているのはMSNであり、上位に掲載されることである程度のトラフィックを獲得する事ができます。その意味では、MSNに上位表示するためにはサブサイトリスティングは意味がないのではないか?といわれればその通りです。サブサイトリスティングはあくまでLookSmartの表示する検索結果の中に一緒に適合度順に掲載されるだけですのでキーワードによっては全く上位表示はされません。ではサブサイトリスティングは無意味か?

 ただ、ここでサブサイトリスティングをSubmit-A-Site と対比させた時の利点を思い出してほしいのです。サブサイトリスティングを利用することで従来トップページURLしか掲載できなかったLookSmartのディレクトリーに商品別のURLを登録する事ができる、というお話をしましたね。つまり、MSNにおいては、従来であればトップページのURLのみしか掲載できなかったものがサブサイトリスティングを利用する事で商品別ページへの直リンクを検索結果に表示する事ができるのです。

 また、LookSmart は検索キーワードに対して見出し・紹介文に一致するキーワードが含まれているものを検索結果に表示するのですがサブサイトリスティングを使って複数URLを登録すれば、それぞれの見出し・紹介文は当然異なるもの(商品別のURLを掲載するなら、それに対応する見出しと紹介文は当然異なります)になるため、より多くの検索キーワードに対して検索結果に表示させることができるようになります。

 サブサイトリスティングは特に多様な商品を取り扱っているサイトで有効です。MSN で「モーニング娘。CD」や「小野真弓」、「矢田亜希子」という検索キーワードをそれぞれ試してみて下さい。TOWER RECORDS のサイトが一番上に表示されます(2003/09/30)が、リンク先URLは全部異なりますね。これがサブサイトリスティングを利用した場合のMSN上でのメリットです。

 上位表示をさせることも大切ですが、検索キーワードに対応したウェブページを検索結果として情報提供することも大切です。検索キーワードの商品やサービスを案内しているウェブページに直接ユーザーを誘導できれば、購入に結びつくチャンスも増大するのです。

 以上、LookSmart サブサイトリスティングの説明でした。

[参考]

LookSmart Japan - サブサイトリスティング

( 2003/03/10 執筆 / 2003/09/30 改訂 / 渡辺隆広)

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