先日の「Google と Microsoft の買収話 - 検索市場を巡る争い」記事で触れた、「Microsoft は ブラウザ戦争の時のように Windows というOSを使って市場を制覇するのでは」という観測について。
Microsoft は Windows、Office、ブラウザと、ソフトウェア市場は次々と市場を寡占化してきていますが、検索市場ではそう簡単には事は進まないのではないか、と考えます。
ブラウザ戦争やワープロソフト戦争(一太郎VSワード)と今回の検索市場を巡る覇権争いは次の点で異なると考えます。
1)今回は「ソフトウェア」の戦いではなく検索というウェブサービスの戦いであり、代替サービスへの切り替えコストはほとんどない。ソフトウェアは「購入」(ダウンロード)と「インストール」という障害があったのに対して、Google は URL またはお気に入りから1クリックで到達できる。ある車を購入してから別の車に買い換えるのは大変だけれども、図書館で本をあちこち引っ張りだすのは簡単です。
2)検索サービスは、ブラウザソフトやワープロソフトと比較して相互排除性が低いこと:ブラウザ=ウェブ閲覧、ワープロ=文章入力、といった要素は、IE / NN の製品の違い、あるいは一太郎 / Word の機能上の違いはほとんど見えず、「1つあれば十分」なソフトウェア。しかし検索サービスは関連性の高い情報が出てくるかどうかで違いがわかるため、MSの開発する検索技術の性能如何では共存・あるいは Microsoft が利用されない可能性がある。
3)検索技術は大きな技術革新の余地が残っていること:ローカル検索、パーソナライゼーション、検索結果の精度向上、など検索技術は技術革新の余地が大きく残されており、検索技術開発において一歩先を行く Google の戦略次第で M$ を突き放せる余地はある
等から、この検索市場での戦いにおいては、多くの企業を苦しめてきた Microsoft のコアコンピタンスがそれほど機能しないのではないかと見ています。
Windows が直接絡まない製品(例えば Xbox)であれば、それほど強力な資源を有効に利用できるわけではないので、その意味では Google にも勝算はあるのではないでしょうか。
[関連]
Google と Microsoft の買収話 - 検索市場を巡る争い (1)
[UPDATE 2005/01/28]
The coming search wars [SearchEngineWatch.com]
http://searchenginewatch.com/sereport/article.php/3308131#nyt
現状で既にWindows XPに検索は統合されている、従って「ロングホーンで検索が統合される」と騒がれているけれども別に珍しくも何ともない。また、既に検索が統合されているにもかかわらずGoogleが世界最大のシェアを握っているという事実は、検索というソフトウェアはクリック1つで切り替え可能なものであり、決して[OS+Search]をプレインストール出荷することはMicrosoftにとってアドバンテージにならないのではないだろうか。