Google の PageRank の値の意味がない、というのは、厳密にいえば「私たちが目にすることができる PageRank の値は特に検索順位との関係性も見えないので意味がない」ということです。目視確認できる PageRank とは、Googleツールバー上や、一部のWebサービスで調査・参照できる PageRank のことですが、ご存じの通り、単に10段階で表しているに過ぎません。この値(自分のサイトが10段階のどこか)がわかったところで、どうしようもないわけです。
Google のアルゴリズムのコアテクノロジーの1つとして PageRank という仕組み自体は動作していますし重要であることには変わりありません。ただ、SEO を検討する立場にいる人の視点では、これら10段階評価の値には意味がないということです。
ただし、ある特定の用途・目的においては、以前として重要な参考指標となります。具体的には次のケースです。ポイントは、値そのものではなく、"値の変化"に着目することです。
※ 以下、特に断りがない限り、PageRank はツールバー等で参照できる10段階評価の PageRank を指します
活用法その1:有料リンク売買によりGoogleからペナルティを受けた場合
PageRank が 10 から 5 へ、7から 3 へといった具合に、ある日突然、PageRank値が大幅に下げられるケース。これは Google から有料リンク売買(販売側、購入側含む)を発見され、ペナルティを与えられた可能性を示します。
活用法その2:重大なガイドライン違反やインデックス削除
ある日突然、PageRank 値がゼロ(緑色のバーが何もない状態)やグレーアウト(灰色になり、PageRank値が表示されない)になるケース。これは、何らかの重大なガイドライン違反や、何らかの理由によりサイトがクロールされていないことを示している可能性があります。
先日のlivedoor Blog の PageRank が灰色になったように、実は何も問題がないこともあるのですが、Googleへの検索結果掲載の継続性に問題が発生した可能性を示すシグナルとして扱われます。
活用法その3:ドメインプロパティのリセットを確認する
運営していたサイトを閉鎖し、そこで利用したドメインを手放す場合は、ドメインプロパティのリセットをすることが推奨されます。ドメインプロパティとは、ドメインに紐づけられた価値情報、評価資産のことです。この資産価値はPageRankの値でもっておおまかに確認ができます。
このプロパティは、一定の手続きを経ることで自らリセット(PageRank ゼロ)にすることが可能です(方法はまた後日)。プロパティをリセットしてからドメインを放棄することで、第三者による再取得、及びSEOへの転用(悪用)を阻止することができます(※ いわゆる中古ドメイン(ドメイン再利用)問題。プロパティリセットの必要性について本文最後に詳細解説を記載)。
PageRank の値の変化は、この手続きの完了を知るための手掛かりとして活用できます。一定の手続きを経て、ドメインのPageRank 値がゼロになれば、Google は当該ドメインへの全てのリンク評価を無効にしたものと判断できますので、安心してドメインを放棄できます。
以上の通り、PageRank 現在地そのものは利用価値がありませんが、その値の変化に着目することで、問題の発見や手続きの確認を知ることができます。
最後に活用事例。
活用事例:SEO価値をPRするディレクトリの価値判定
ここで活用事例を1つ。具体的な名前は伏せますが、ここ1~2年、雨後の筍のように有料審査登録型ディレクトリが増えました。その品質を推定する材料の1つとして PageRank 値は参考になります。
たとえば、次のような構成のサイトがあったと仮定します。
サイトトップ:www.example.jp
ディレクトリトップ:www.example.jp/dir/
提携ネットワーク数の多さをアピールしてSEOに効果があることを果敢に営業してるディレクトリに参加している提携サイトは大抵、上記のような構成となっています。この場合、サイトトップの PageRank 値と、ディレクトリトップの PageRank の値の差分を調べます。たとえば、前者の値が 6 なのに後者が 3 以下であれば、色々な意味で怪しいです。ゼロなら問題外。
[本文ここまで]