SEMリサーチ

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SEO担当者が知っておきたい、Google検索とGoogle+の関係

ここ1~2年、米国で開催されている検索関連のカンファレンスに参加しますと、Google+関連のセッションは必ずと言って良いほど用意されています。米国在住のSEM業界関係者の方であれば既にご存じの通り、Google+が直接・間接的に検索結果の様々な機能に影響を及ぼすようになりました。2~3年先の未来を見据えた時にGoogle検索とソーシャルネットワーキングサービスとしてのGoogle+の融合は1つの大事なテーマであり、この未来を見据えた上で動向を押さえることは無論、自分がやらなければならないこと、今のうちに考えておいた方がよいことは整理しておいた方が良いでしょう。[関連:スターバックス, エコノミスト…SEO戦略の一環でGoogle+ページ運用に取り組む企業たち]

Google+とGoogle検索

本記事では、現状において Google+の機能や活動がGoogle+へどんな作用をもたらすのかについて、基本事項をまとめておきたいと思います。以下に紹介する主な両者の関係性は、東京(日本)とニューヨーク市(アメリカ合衆国ニューヨーク州)の2つのネットワークからGoogleに接続した時に目視確認できた検索結果画面に基づいて記述しています。いずれも2014年1月1日時点です。

[UPDATE] SEO観点でGoogle+ に投資する価値はなくなった(2014/12/22)

cf.

2014年 SEO業界 予測と展望

Google Search Plus Your World (SPYW)で個別化される検索結果

ポイント:Google+上で多くのユーザとの関係を構築すると、検索結果での露出量も増やすことができる

Search Plus Your World (以下、SPYW)は2012年1月10日に米国でリリースされた新しいソーシャル検索機能です。同社のソーシャルネットワーキングサービス・Google+の友人や知人の繋がりを検索に持ち込むことで、よりパーソナルな検索結果を提示することを目指して導入されました。2014年1月1日時点で、米国及び英国で提供されています(※検索利用者の閲覧元IPアドレスが米国または英国の場合に利用可能)。

リリース直後の時点では、Google+で繋がりのある友人が投稿した写真や記事を検索結果に表示したり(Personal Results)、知り合いの名前を検索窓に入力するとプロフィールを表示する(Profiles in Search)、検索結果右側に検索キーワードと関係するGoogle+ページやGoogle+へのリンクを表示する(People and Pages)といった3つの機能が柱となっていました。

しかし検索利用者からの評判が芳しくなかったのでしょうか、2013年には一部の機能が縮小・廃止されることになりました。友人や知人が+1したり共有した情報を検索結果で表示しても、検索体験の向上にはつながらないとGoogleは判断したのかも知れません。

個人的には(私のソーシャルグラフが原因ですが)何のキーワードで検索しても常に辻正浩氏(株式会社so.la)の顔写真が表示されるのにイライラさせられました。一時的に全てのソーシャルサービスにて彼との繋がりをブロックしたほどです。

そんなSPYWですが Google もいろいろな試行錯誤を繰り返しています。2014年1月1日時点でSPYWが検索結果に与える影響は次の通りです。SEO担当者が知っておきたいであろうポイントだけまとめます。

※ 以下に紹介する仕様は、日本国内からは確認できません。また、特に断りがなければGoogleアカウントにサインインしていることが前提となります。

  • Google+やGoogle+ページの投稿が自然検索結果に表示
    Googleアカウントにサインインしている状況において、検索キーワードに関連するGoogle+やGoogle+ページに投稿されたコンテンツが自然検索結果内に表示されます。サークルに追加(フォロー)しているGoogle+ユーザーやGoogle+ページが投稿したコンテンツが表示対象となります。

    検索結果に表示される際のタイトル及び説明文は、投稿したコメントの先頭文字列がそのまま引用されます。書き出しに無関係な文言を入れていると、検索意図との関連性が低くなりクリック率も低くなると思います。

    公開投稿されたコンテンツは、投稿後数分で自然検索結果に表示されます。検索結果に出現する割合や頻度は、検索キーワードのトピック(話題)との関連性も考慮されているようです。例えば私のアカウントでは、自分の(SEMリサーチの)Google+ページが高い頻度で検索結果1ページあたり1~2件表示されることを確認しています。

  • 人物指定の検索結果
    例えば tsuji masahiro と入力すると、オートコンプリートに辻正浩氏が候補として表示されます。これを選択すると、辻正浩氏が関連するウェブページのみが検索結果に表示されます。当該人物がAuthorship(オーサーシップ)でプロフィールとコンテンツの関連付けを行っている場合はそれが中心に自然検索結果に表示されます。単純に文字列「辻正浩」を含むページも出てくるため、同姓同名の人物がいる場合は必ずしも関連性が高い検索結果にはなりませんでした。
  • サークルに追加しているユーザーを軸としたパーソナライズ検索
    サークルに追加(フォロー)しているユーザーとの話題の関係性やキーワードとの関連性に応じて、検索結果がパーソナライズされるようです。私のGoogle+アカウントの場合は、SEO関係の話題を検索した場合は、自分がサークルに追加しているユーザーが検索結果の上位に表示されやすい傾向があります。サークルに追加しているGoogle+ページや参加するコミュニティとの関連性も考慮されているのではないかという仮説もありますが、現時点ではまだ明確な結論は業界内でも出ていません。一般的には、自分の領域に関連する話題を中心に投稿したり、そうしたユーザーをフォローすることが良いとは言われています。

結論:『サークルに追加しているユーザーやページに応じて自然検索結果がカスタマイズされる』『より多くのユーザーにサークルに追加してもらえば、自身が発信する情報の検索エンジンによる発見性は高められる』ということになります。ユーザーと交流し、関係性を深め、共感してくれるユーザーの支持を得ていくことで、検索を通じて情報が届けやすくなるのですから、今後 Google+ がもう少し活発になってくると、SEOの戦略設計において Google+ は必要不可欠な存在になってくるでしょう。

Google+(ページ)への投稿もウェブページ扱いでインデックス

ポイント:Google+やGoogle+ページに投稿したコンテンツは通常のウェブページと同様にインデックスされ自然検索結果に表示される

Google+やGoogle+ページから投稿した1つ1つの記事には固有のURLが割り当てられます。こうしたページは通常のウェブページと同様にインデックスされ、SPYWの欄で触れた通り自然検索結果に表示されます。日米共にGoogleアカウントにサインインしたユーザーを対象に表示されます。

2013年12月時点で、日本においてもGoogle+ページに投稿された記事が自然検索結果に表示されていることを確認できましたが、2014年1月1日時点では表示されなくなりました(※ 詳細不明)。

通常のウェブページと同様の扱いなので、例えばウェブページで新規公開したばかりのページを Google+に投稿すると、検索結果反映までの時間(インデックス完了までの時間)を短縮できるという報告もあります。

結論:反映までの時間については定かではありませんが、(違法コピーした第三者でなく)自サイトのコンテンツが確実に検索結果に表示されるようにする、という観点からはGoogle+に投稿する方が望ましいです。

Google+投稿に含まれた発リンクも検索順位の参考に

ポイント:Google+投稿に含んだリンクはnofollowがつかないのでシグナルとして扱われる

Google+ に記事を投稿した時に、添付欄に記述したリンクには nofollow が付与されない、つまり検索アルゴリズムが評価対象とするシグナル(順位決定時に考慮する要因、手がかり)として扱われます。一方、文章入力欄に記述したURLにはnofollowが自動的に加えられます(参考までに、Facebookはどのリンクにもnofollowが与えられる)。

なお、Google+やGoogle+ページに投稿されたリンクが検索アルゴリズムにおいてどんな扱いを受けているのかはまだ明らかになっていません。通常のウェブページと同様に PageRank の計算が行われているという説、ソーシャルシグナルとして別の計算が行われている説など様々な仮説がありますが、現在まで Google は特に明確な回答は出していません。

結論:『添付欄に追加されたリンクはシグナルとして取り扱われる』『Google+(ページ)に投稿されたページのリンクがどのような扱いを受けているのかはまだ明らかになっていない』となります。Google+やGoogle+ページの権威性や信頼性の評価が行われるかもしれないという可能性を踏まえますと、直接的なメリットは期待せずに、気長に運用するという案は悪くありません。

Google+プロフィールページ(基本情報)の扱い

Google+プロフィールの「基本情報」(※ ユーザーの名前や職業、職歴、自己紹介などが掲載されているページのこと)もインデックスされますし、自己紹介に記述したリンクも評価対象となります。

同ページの「リンク」欄は少々複雑で、まず他サイトのプロフィールページ(LinkedInやTwitter, Facebookのプロフィールページ)への発リンクと、寄稿先への発リンクにはnofollowが加えられます。しかし、リンク欄内のリンクの発リンクにはnofollowがつきません。Googleがこうしたnofollowルールを加えた意図はよくわかりません。

結論:Google+プロフィールのページは通常のウェブページ扱いになります。決して特別なページとして扱われるわけではありません。

Authorship(オーサーシップ)による著者情報の表示

ポイント:ウェブページとGoogle+プロフィールを紐づけるAuthorship導入によりスニペットに顔写真を表示することが可能となり、クリック率の向上を見込める

Google Authorship はGoogle+プロフィールとウェブページの紐づけを行うためのアノテーションの1つです。指定されたタグをウェブページに埋め込むことで、Googleはウェブページの著者を認識し、そのユーザーの顔写真(Google+プロフィールに登録している写真)を検索結果表示時にスニペットの左側に表示します。

ウェブページに著者情報を紐づけることにより、将来的には業界でオーサーランクと呼ばれているもの、つまり著者の権威性や信頼性に基づいて順位づけを決定するようになる可能性が指摘されていますが、2014年1月時点では検索順位には影響していません。しかし、スニペットに顔写真を表示することで大幅なクリックスルー率の向上は既に多くのケーススタディが証明しており、こうしたメリットを求めて対応することは良い試みでしょう。米国でも一部の大手メディアはライターやジャーナリストにGoogle+を設定するように求めています。

cf.

Google Authorship(オーサーシップ)とは?

結論:Google+とGoogle検索の関係の中でも、現時点で明確なメリットが受けられるのがAuthorshipですので、適用条件を満たすウェブサイトであれば是非導入してみましょう。

Google Local Carousel(カルーセル)とGoogle+

ポイント:Google+ローカルページに掲載した写真は、Google Local Carousel の検索結果表示時に利用される

Googleは2013年夏頃より、映画やバー、レストランなどの一部のローカル系検索クエリにおいて、Google Local Carousel(ローカル・カルーセル)パネルを検索結果画面の最上段(検索窓とアドワーズ広告の間)に表示します。

話を進める前にカルーセルについて説明しましょう。カルーセルとは、画像コンテンツを横一列に並べて表示してスライドできる表示方法のことで、日本でも「国立美術館」と検索してから検索結果右に表示されるナレッジグラフ内の「他の人はこちらも検索」の下に表示される他の美術館をクリックすると、カルーセルの検索結果を確認できます。

さて、ローカルカルーセルが表示するお店や施設の写真は、Google+ローカルページに投稿・掲示された写真に基づいていますので、事業者はあらかじめGoogle+ローカルページ作成時に検索結果にも表示されることを前提として写真選定をしておけば、魅力的な写真を掲載することも可能になります。

結論:米国ではローカルカルーセルというものがある、という認識だけは持っておくとよいでしょう。日本で現時点で特にできることはありません。

Googleローカル検索とGoogle+

ポイント:ローカル検索において必要不可欠なのがGoogle+ローカルページですが、レビューの蓄積は今後の重要課題。

ローカルSEOにおいてGoogle+ローカルページの開設は必要不可欠です。皆さんもスマートフォンやタブレット端末から最寄りのお店や企業を検索するときに、頻繁にGoogle+ローカルページを(気づいていないかもしれませんが)目にしているはずです。

ローカルSEOは少々複雑なので詳細は本記事では省略しますが、検索ランキングの決定においてGoogle+に蓄積されるレビュー(数量、評価、蓄積増加速度、多様性等)は非常に重要です。ただし、レビューというのは顧客が投稿してくれて初めて集められるものですし、数を集めたいのであればそれだけ多くの顧客と取引をすることが必要です。つまり一朝一夕で集められるものではありませんので、取り組むのであれば早いに越したことはありません。

結論:ローカルSEOを重視するなら、レビューの運用管理の戦略を練っておくべき。

信頼性や権威性は、長期にわたる事業継続で初めて評価されるもの

FacebookやTwitter、Pinterest などと比べると Google+は微妙なところであり、実際の事業への影響度合いを考慮しても本気で取り組むのには躊躇する人は少なくありません。しかし、長年検索エンジンマーケティングに携わってきた人であれば、いずれ Google検索がGoogle+と融合してくる未来がやってくることは明らかであり、だからこそ(ソーシャルとしてのGoogle+に興味がなくても)Google+自体の動向はきちんと追っている人は少なくありません。

今日のGoogleは、リンクの数量に基づいたサイトの重要度(≒人気度)といった単純な指標ではなく、多くのシグナルを複雑に組み合わせて出力する指標であり、人為的に操作が困難な指標を検索順位決定シグナルに持ち込もうとしています。例えば権威性や信頼性、評判性といった指標がまさにそれで、これらはいずれも「お金を払えば獲得できるものではない」「一朝一夕で積み重ねられない」といった、人為的に作り出すことが難しい指標ばかりです。Google+プラットフォームに展開されるソーシャルグラフや共有、ユーザーの会話している事柄、共感を得ているコンテンツを把握し、それを検索の世界に持ち込めば、もっと優れた、関連性の高い検索結果を表示できるようになってくるでしょう。

Googleが検索とGoogle+の密接な連携を開始した後で取り組み始めては遅いのです。しかし、日本のGoogle+の現状を考えると、FacebookやTwitterではなくGoogle+にリソースを割くのも合理的ではないでしょう。ここが難しいところですよね。

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