昨年、エドワード・スノーデン氏の告発を発端に、米国家安全保障局(NSA)と米連邦捜査局(FBI)が「プリズム(PRISM)」と呼ばれるプログラムを通じて、Microsoft、Google、Yahoo!、AOL、Skype といった インターネット関連企業の個人情報を収集していたことが明らかとなった。この米国政府による通信盗聴問題を受けて、人々のインターネット検索行動に何らかの変化が生じたのだろうか。マサチューセッツ工科大の Catherine Tucker 氏と Digital Fourth の Alex Marthews 氏が、PRISMプログラムの存在が明らかになった前後の検索行動データを分析して、影響の度合いを明らかにした。
両氏は、騒動の発端である米国のほか、カナダ、中国、メキシコ、日本、ドイツ、韓国、英国、フランス、ブラジル、サウジアラビアの11カ国を対象に調査。PRISMの存在が明らかとなった2013年6月6日を境として、この前後の検索クエリデータを Google Trends から収集した。調査対象の検索クエリは合計282。この282クエリは、(1) 米国土安全保障省(Department of Homeland Security) の監視対象クエリ、(2) クラウドソーシングを通じて収集した、”米政府に目をつけられそうなクエリ”、(3) Google Trends の公開するトップ検索クエリ(2013)の3つのデータソースから、米国政府の監視対象になりうる可能性のあるクエリ/可能性の低いクエリを選択した。
調査の結果、「政府とトラブルになる可能性が高い」検索クエリの数量は、PRISMプログラムの暴露後に 5% 減少したことが明らかとなった。一方、米国外の国では極めて個人的な問題に関連する検索クエリの減少がみられたという。
Government Surveillance and Internet Search Behavior