SEMリサーチ

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コンテンツ品質は、記事タイトルの良し悪しだけで推定できるという話

現在、私は社員が執筆した記事等の品質確認を行う仕事もしていますが、(1) 原稿タイトルと (2) 最初の1行目、(3) ざっと見た感じの情報量(文字量+図版点数)、この3つの要素を使って全体の品質を推定することから始めます。

特に (1) タイトル設定は重要です。これが十分に適切と判断できる時は、それだけで良文と推定して全体確認をします。つまり原稿によっては数秒で確認作業の大半が終わります。

なぜ、この3点で判断できるのでしょうか。

理由は、タイトルから推定される話題(トピック)の選択と設定が妥当であればきっと良い文章だからです。一方で、タイトルの設定に無理がある、タイトルに対応する書き始めの1文がおかしいと、話の展開や論理構成に無理が生じている可能性が高いからです。言い換えると、適切なトピックを設定している時点でその執筆者はその話題について論旨を展開する能力がある可能性が高いということです。

タイトルから推定される主トピックと、それに対応する情報量を照らし合わせることでも品質推定ができます。たとえば、複雑な問題を抱えるトピックであり長文が要求されるにもかかわらず情報量がそれに満たない場合、きっと何らかの論点が欠落していると考えます(そして実際、何らかの問題を抱えているので修正箇所と修正提案案を示して修正をお願いすることになる)。


上記の話は、私が瞬時に頭の中で判断しているのですが、抽象化すると次の4要素を判断していることになります。

  1. 読者が知りたいと期待するトピックの単位
  2. タイトルは、「そのトピックに関心ある読者が、期待する情報がそこで得られるに違いない」と判断するに十分か
  3. 読者がそのトピックで期待する情報量はどれくらいか
  4. 記事の主コンテンツは、「読者が期待した通りの情報量」に対応するか

つまり、ユーザーがある事柄について期待するトピックの (a)範囲と(b)深さ、(c)情報量と、提示するコンテンツに含まれるトピックの(a')範囲と(b')深さ、(c')情報量が一致しているか最初に判断しているわけです。この両者がバランスよく対応している場合、その執筆者はそのトピックについて言語化するだけの十分な能力を備えているから、アウトプットも問題がないのでしょう。


# この原稿は、ある媒体向けに書いていた文章の一部でボツにしたものです。後日公開予定の記事と関係ないわけでもなく、これはこれで話は完結しているので、いちおう投稿しておきます(2021/03/19)。

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