SEMリサーチ

企業で働くウェブマスター向けに、インターネット検索やSEOの専門的な話題を扱います

解説: Yahoo!、検索エンジン切り替え - Google と袂を分かつ (I)

Yahoo! Inc. が Google との提携を解消すること自体は以前から予測されていたことですが、その時期は不明確でした。Inktomi および Overture との買収が完了してから1年以内には何らかの行動を起こすものと思われましたが、ついにその時がやってきました。

Yahoo! は創業以来、人の手により構築されたディレクトリ検索を提供する一方、Web検索は常に他社の技術を利用してきました。米Altavista、そして200年より Google です。Yahoo!JAPAN も goo、そして Google に切り替えてきました。Yahoo! は Google の優れた検索技術を採用することで Yahoo!ユーザーに対し快適な検索サービスを提供する一方、Google は大手ポータルサイトにその検索技術を採用することで知名度を上げてきました。この両者の関係は良好でした。

しかし検索市場の変化に伴い、この関係はライバルへと変わります。インターネットユーザーの多くが検索エンジンを利用してWebサイトに到達するようになり、また Overture による有料リスティングの成功により検索ビジネス自体が利益率の高い市場となってきました。その一方で Google はWebサーチを AOL、Yahoo! に提供し、ショッピング検索の Froogle、ニュース検索の Google News と次々と新サービスをリリース、ポータルとしての Yahoo! と直接競合するようになりました。このままでは多くのユーザーがすべての行動を Google検索から開始することになり、すべてのサーチトラフィックが Google に支配されることを意味します。

このような状況から、Google の存在は Yahoo!はもちろん、Amazon.com や MSN、eBay などポータルやeコマースサイトに対して非常に脅威となってきたわけです。そこで Yahoo! は次のような戦略を打ちます。他社に依存するのではなく、自社で検索技術と広告配信技術を所有し、検索市場における地位を獲得する - 多くの利益を生み出す検索市場をドメインと定める以上、そのコアとなる検索技術を他社に依存していることは自社の戦略の幅を狭めるとともに、より多くの富を獲得できる機会を失いかねません。競合よりも戦略性の高い独自のサービスを展開していくためには、自社でその核となる経営資源を保有する必要性があるわけです。そして Yahoo! は買収戦略に移ります。

>>> 解説: Yahoo!、Google と袂を分かつ (II) へ続く

[関連]

Yahoo!、数ヶ月以内に Google との提携を解消!

COPYRIGHT © 1997-2021 渡辺隆広(わたなべ たかひろ) ALL RIGHTS RESERVED.

お問い合わせ(お仕事の相談、講演依頼など)

SEMリサーチ(www.sem-r.com)に掲載している文章及び図版の無断使用及び転載を禁じます。著作権侵害行為には厳正に対処します。

免責事項:SEMリサーチは、本記事中で触れている企業、商品、サービスの全て(情報)について、有用性、適合性、正確性、安全性、最新性、真実性に関する一切の保証をしておりません。各自の判断でご利用下さい。