SEMリサーチ

企業で働くウェブマスター向けに、インターネット検索やSEOの専門的な話題を扱います

特許取得 = Googleの検索アルゴリズムに組み込まれているわけではない

今回の米Google・マットカッツ氏によるビデオのQ&Aは、検索業界の歴史の中で、比較的新しい「SEOの都市伝説」の1つだと思います。"What's the latest SEO misconception that you would like to put to rest?" 最近のSEOの誤解の1つとして挙げられるのが「Googleが特許を取得しているからといって、その特許が今日のGoogleに実装されているとは限らない」ということです。

海外のSEO系ブログを見ていると、「Googleが○○○なランキングアルゴリズムについての特許を取得していた。今の検索エンジンはこうやって検索順位を決定しているんだ」的な記事を少なからず見かけるのですが、これが必ずしも正しくないというわけです。特許取得の背景にはいくつかの理由があり、必ずしも全てが検索エンジンに実装されるわけではありません。R&Dチームの研究意欲を高めるためとか、防衛目的の特許もあります。出願内容よりも洗練・高度化されて実用化される方が多いわけで、特許内容そのものを現実の検索エンジンに当てはめることに無理があります。

What's the latest SEO misconception that you would like to put to rest?

昨年のCSS Nite - インハウスSEO - 成功する担当者 失敗する担当者にてお話したかと思いますが、これからSEOの勉強をしていきたい方には、勉強の材料として特許文書を読むことはおすすめします。なぜなら、特許文書を読むことは現在~将来の情報検索(IR - Information retrieval)の世界を理解するのに役立つからです。すなわち、Google(あるいは検索会社全体が)がどういった哲学・理念に基づき、検索の世界をどのように変えていきたいと考えているか垣間見ることができるからです。

SEOというのは、最終的に検索エンジンソフトウェア(=コンピュータ)にウェブサイトのコンテンツを適切に伝達し、評価してもらうことにあります。したがって、検索エンジンが向かう先 -- 今日の検索の問題を解決するためにどうしようとしているのか -- 理解できれば、ウェブサイトをどうすべきかが見えてくる、怪しいSEO系情報にあれこれふりまわされなくても、長期的に、いつでも検索からアクセスしやすいウェブサイトはどう構築・運営されるべきか本質が理解できるからです。

難点は、特許文書というのは非常に難解であり、読んで理解するのに相当な時間がかかるところですが・・・ これは慣れるしかありません。私も最初の2~3年は苦労しました。

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