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Google Authorship とは (グーグル・オーサーシップ)

今後のSEO(検索エンジン最適化)を考える上で、Google+の活用は避けて通れないと言えるでしょう。遅かれ早かれ、どこかのタイミングで検索とGoogle+が密接にかかわっていき、(ソーシャルネットワーキングサービスとしての魅力が微妙であっても)Google+には何らかの形で取り組んでいくことが求められるでしょう。

今回はその中でも、現時点で導入によりメリットも得られる Google Authorship(グーグル・オーサーシップ)について基本的な事柄をまとめました。なお、本稿では Google Authorship の設定方法には言及していません(後日公開します)。

Google Authorshipとは

Google Authorshipとは簡潔に言うと、コンテンツ(著作物)とその著者情報を結びつけるためのマークアップです。Google Authorshipマークアップを行うことにより、検索エンジンは、あるコンテンツとその著者人物の情報を関連付けて把握することが可能になります。

Googleのソーシャルネットワークサービス(SNS)である Google+で作成した個人のプロフィールページと、自分が執筆したコンテンツのページを定められた方法で互いにリンクしあうことにより、Google は両者の関係性を理解します。

Google Authorshipを導入することのメリット

Google Authorshipはまだ生まれたばかりのサービスで、Google自身も様々な試行錯誤をしています。後述するように、将来的には検索ランキングアルゴリズムにも影響する可能性を秘めていますが、現状では次のようなメリットを享受できます。

検索結果におけるクリックスルー率の大幅な向上:Google Authorship の導入により、自然検索結果に自分のコンテンツが表示された時、そのスニペット(説明文の表示欄)の左側にGoogle+プロフィールで設定した自分の顔写真を表示することができます。視覚的に目立つほか、特に検索利用者があなたのことを知っている場合、リンクのクリック率が大幅に情報することが期待されます。このクリック率の改善については様々な会社が調査結果を発表していますが、おおむね、25-40%程度のクリック数増加が見込まれます。

また、米CBS InteractiveのDavid McClellan氏(SEOアナリスト)は、読者に広く認知され、人気のあるライターほど高いクリック率が認められたと報告しています(SMX Social Media Marketing, 2013)。

Google Authorshipは設定さえすれば誰でも表示が可能?

Google Authorshipを通じて著者情報を検索に反映するためには、Googleが提示する手順を踏んで自分のサイトとGoogle+プロフィールページで設定を行う必要があります。ただし、設定をすれば誰でも自分の写真を検索結果に表示できるわけではありません。Googleは2013年10月に、従来よりAuthorshipが適用される範囲を狭めており、著者であるあなたのコンテンツ及びGoogle+が、一定の権威や信頼性を保持している必要があります。この権威性や信頼性の計算を行うアルゴリズムは詳細が公開されていませんが、一定期間の継続的な情報発信や他ユーザーとの交流など、当該アカウントの活動も考慮されていると考えられます。無論、コンテンツ(及びそれを掲載するサイト)の権威性や信頼性も考慮されます。

Google Authorship は今後どういった可能性があるのか?

現状、Google Authorshipの導入そのものが検索順位の改善に役立つわけではありません。一方で、信頼できる著者のコンテンツは検索上位に表示されるようになる可能性も模索していると言われています。

検索エンジンが優れた検索結果を提供するためには、1つ1つのコンテンツの人気度や信頼性、重要性、そして品質等、そのコンテンツが読み手である人間にとって価値あるコンテンツであるか否かを適切に判断する必要があります。しかし玉石混交の無数の情報が広がるインターネットの世界において、それは容易なことではありません。

私たちがインターネット上に公開されたコンテンツを評価するためには、おおよそ (1) コンテンツそのものの評価、(2) コンテンツの社会的(第三者からの)評価、(3) コンテンツ著者の評価という3つの評価尺度を使うことができます。(1) は検索アルゴリズムによるコンテンツ分析、すなわちどんなキーワードや検索意図に関連性が高いかを判断するアプローチです。(2) はPageRankに代表されるリンク分析や、TwitterやGoogle+を通じたソーシャルシグナルといった、インターネット上のコンテンツを互いに相互参照している要素を分析するアプローチです。そして (3) は可能性が検討され、着手されたばかりの領域です。

Google Authorship は、これまでどの検索エンジンも正確に把握していなかった情報、著者それ自身の評価や信頼の情報を用いて、その人物が公開したコンテンツの有用性を類推するというアプローチにチャレンジしようとしています。ある特定分野においていつも優れたコンテンツを発信し続けるA氏が、同領域でまた新たなコンテンツを発信した時、そのコンテンツは有用である可能性は高いでしょう。一方で同じA氏が、門外漢の領域におけるコンテンツを発信した場合、その信頼性は定かではありません。また、社会的評価の著しく低いS氏が書いたコンテンツと、先にあげたエキスパートであるA氏が同種のコンテンツを発信した時、A氏の方が優れたコンテンツと判断ができます。

現実世界で私たちは同じような判断を行っていますよね。それを検索の世界に持ち込もう、それが Authorship の見ている未来です。著者情報を取り入れて、それを検索ランキングアルゴリズムに組み込むことにより、さらに優れた検索結果を提示する可能性が広がります。だからこそ、Googleは慎重に試行錯誤を重ねながら、Google Authorship の普及に取り組んでいるのです。

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https://plus.google.com/authorship

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