SEMリサーチ

企業で働くウェブマスター向けに、インターネット検索やSEOの専門的な話題を扱います

文章の難易度は検索順位と一切関係ない

日本語文章難易度はそのサイトのオーディエンスによって決定されるべき事柄であり、それ自体が検索クエリとの適合性 - 「ユーザーが求めている情報か否か」とは一切関係ないお話です。つまり文章の平易さは検索順位には一切影響しない - これくらいのこと自分の頭で考えて導いて欲しい、そんな質問です。

Should I write content that is easier to read or more scientific ? Will I rank better if I write for 6th graders ? Ben Holland, Phoenix, AZ

教育市場向け、例えば小学校教育での利用を前提とした専門検索エンジンであるならば、内容の平易さや(技術的な意味での)専門性、コンテンツの対象年齢層といったシグナルは重要な要因になってくるでしょう。しかし Google は研究者から一般利用者まで幅広い層の人々が利用することを前提とした、「インターネットの入口」としての一般検索エンジン(Generic Search Engines)ですから、そういった文章レベルをシグナルとして活用することは難しいです。

そもそも、ある話題を小学生でもわかるように平易に説明するか、それとも研究者や専門職とするプロフェッショナルな人々向けに極めて専門的な説明をするか、どちらが良いかはサイトが想定するオーディエンス層によって決定すべきことです。あるいは、検索を通じた露出や発見性(Visibility and Findability)を考慮するならば、あなたが発信する情報を得たい人々が検索時に使用するキーワードに基づいて、用語選択を行えばよいことです。つまり本件は SEO の問題ではなく、サイトのコンテンツのあり方についての問題です。

ちなみに Matt Cutts氏が動画内で語っている「ブログ記事を公開する前に声に出して読んで、おかしなところを修正する」は私も以前、昨年SEO業界を離れたJill Whalen氏にSEO のライティングのコツとして習ったことがあります。特に昔(10年前)はキーワードをいかに(自然に)文章に含めるかという観点が重要であったために、不自然な文章 - 同じキーワードがくどいほど出現する - を書いてしまう人が少なくありませんでした。こうした不自然さを未然に防ぐアドバイスとして、声に出して読んでみて、それが不自然か否かを判定するというものでした。

余談ですが、本サイト(www.sem-r.com)は…

(1) SEM業界関係者が大半だが「私が常識」だと思っていることの大半は意外と知られていない、つまり能力面での初心者と、私との相対比較における初心者がいる

(2) わからないことを調べる時に専門用語が使われがち(e.g. リンク成長性)

(3) 新聞・雑誌などのメディア関係者が取材してくることがある

という傾向を踏まえて専門用語は躊躇なく用いるものの、同時に『業界外の社会人1~3年目(25歳前後の男女)の人が容易に理解できるレベル』、『辻さんの頭に簡単にインプットできるレベル』を目安に、できるだけわかりやすく説明するよう心がけています。

私はわかりやすい文章とは「読み手に負担をかけない、読みながらスッと頭の中に整理され、理解できる」状態だと考えています。一通り読み終わってから「つまり、これがこうだからこうなって~」と読み手自身が情報の再整理しなければ理解できない、そんない文章は、論理構成が甘い、抽象的すぎるなど、どこか理解しにくい部分があるのでしょう。情報の受け手に勝手な解釈の余地を与えない訓練は散々受けているので、その技術を駆使して、できる限り専門性の高い難しい事柄を、シンプルに、具体例や事例交えながら説明するように意識しています。

「辻さんの頭に~」は難易度上限設定、つまり彼が理解できない事柄・話題は扱わないというルールです。

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