Google と Yahoo! JAPAN の2強が支配する日本の検索エンジン市場において、他の検索エンジンのニュースが話題になることはあまりない。今回はそんな検索エンジンの話題を中心に、最近の動向をお届けする。
Baidu日本、インデックス更新を停止、2013年8月からか
中国最大手の検索エンジン・百度(バイドゥ)の日本語検索サービスが2013年夏以降、インデックス(ウェブの索引)の更新を停止しているようだ。2014年1月の話題、たとえば『STAP細胞』や『ソチ オリンピック』といった新規に作成・発行されたであろうページがヒットするはずのキーワードで検索しても、Baidu自然検索結果には一切表示されない。遡って調べてみると、『田中将大 16連続 勝利投手』(2013年8月9日の出来事)、『アメリカ空軍ヘリ キャンプ・ハンセン』(2013年8月5日の出来事)は検索結果に表示されないが、『山口県萩市 豪雨 国道315号』(2013年7月28日の出来事)はちらほらと検索結果の説明文章内に出てくることから、2013年7月末前後でインデックス更新が停止していた可能性がある。同社は2013年7月に動画検索及び画像検索サービスを終了している。
Mooter、検索サービス停止中
検索エンジン・Mooter が2年近くにわたり検索サービスを停止中だ。検索窓にキーワードを入力すると『メンテナンス中です 現在、メンテナンスを行なっております。ご利用の皆様には、大変ご迷惑おかけ誠に申し訳ございません。もうしばらくお待ちください』といった、メンテナンス中であるとの案内が出るが、既に2年以上が経過している。サイトこそ現在も残されているが、事実上終了しているようだ。ちなみに同サイトは検索窓下部にて有料リンク(Paid Links)を販売していたとして、Google から PageRank を調整されるペナルティを受けている。
フレッシュアイは現在も NAVER 検索サービスを提供
2013年12月を持って検索サービス終了を発表したLINEだが、一部の検索提携パートナーには NAVER を提供している。livedoor は2014年1月に NAVER から Google に変更したが、フレッシュアイはまだ NAVER を使用しているようで、検索結果画面の右側に『Powered by NAVER』の表示がある。キーワード『STAP細胞 疑惑』や『佐村河内 会見』と検索しても該当の新しいページがヒットすることからインデックス更新も行われている。一方、フレッシュアイの検索結果画面の上部の検索窓の上にある検索タブは、クリックしても動作しない。
Ask.com、日本語インデックス更新速度を改善
日本市場から撤退しながらも日本語検索サービスを用意している Ask.com。最近、インデックス更新速度を改善した模様で、『stap細胞 疑惑』といったキーワードで検索した時に24時間以内の更新記事も検索結果に表示するようになった。
Google、新しい検索結果画面デザインのテストを再び再開か
2月下旬から徐々に広がっていた、新しい Google 検索結果画面のテストは先週末に一旦終了、3月8日に確認された、日本での Search, plus Your World (SPYW)テストも1日限りで終了した。しかし本日11日になって再び新しい検索結果画面のテストを始めた模様だ。検索結果画面の不具合修正はまだ終わっていないようで、一部のサイトに b タグが表示されている。
Googleニュース、コンテンツ分析を強化
2010年頃の Googleニュースは、キーワード単位での分析が中心だったため、記事の趣旨と全く関係のないキーワードでも、それが含まれているという理由だけで検索結果に表示されることがあった。例えばプロ野球選手のインタビュー記事において、たまたま AKB48 という単語(※内容ではなく、単語が出てきただけ)が出てきただけで検索結果に表示された。これが2012年には少し改善され、単純に AKB48 という単語が出ているだけでなく、その前後の単語も参照して文脈が判断されるようになった。しかし、問題は解決されたわけではない。例えば、プロ野球選手のインタビュー記事において「ももクロの中の誰が好きか?」という質問に対してその選手が応えていると、ももクロ関連の話題に言及されてしまうため、ニュース検索で「ももクロ」と検索するとそのインタビュー記事がヒットしてしまった。これが2013年後半には改善される。単純にキーワードの前後の単語だけでなく、ウェブページ全体の文章の趣旨を分析して、その話題・分野と出現語句の距離(話題に相応しい/相応しくない)を計算して、関連性の有無を判断するように変更された。この結果、単に AKB48 についていかにも記述していそうなスパム的な文章を混ぜても、ニュース検索結果には表示されないように改善されている。米国ではニュース検索においてもブラックハットなSEO手法で検索トラフィックを獲得しようとする輩がたくさんいるが(※ 米国のニュース検索は日本よりも検索対象が幅広く、玉石混交)こうしたアルゴリズム改善により機械的にキーワード豊富な文章だけでニュース検索上位に表示させることは困難となった。
Search, plus Your World = SPYW = Spyware !?
Googleが2012年1月に発表した、Google+のソーシャルグラフに基づいて検索結果をパーソナライズする「Search, plus Your World」は、英語圏ではよく SPYW と略される。日本でも SEO関連の記事を書いている方々は SPYW と略すわけだが、そもそも SPYW の話題に言及している人は極めて少数だ。言葉の利用者が少ないことが原因か、Google日本(www.google.co.jp)は SPYW を Spyware と同義語と扱ってしまうようで、スパイウェア関連の記事まで検索にヒットしてしまう。今後、(日本で SPYW が正式導入され)、SPYW に関心を持つ人々が増えてくれば、SPYW と Spyware が関連ないことが学習されるであろう。