SEOベンダーのレイティング情報(格付け)を提供している TopSEOS.com が Google検索インデックスから次々と削除されていることが海外で話題となっている。
TopSEOS.com は2002年に設立された、SEO関連サービスを提供する会社のレイティング情報を提供する会社。ベンダーの設立年度や売上げ、従業員数から詳細なサービス内容、提供エリア及び言語から過去の実績、さらにはベンダーやそのクライアントへのインタビューを通じて得た情報に至るまで、SEOのアウトソーシングを検討するクライアントに判断材料を提供している。ただし、TopSEOS.com は「有料の」レイティングシステムであり、同社のサイトで掲載されているランキングは全て毎月のフィー(=広告費用)を支払った企業に限られる、つまり客観的な分析に基づいた、実力に基づくベンダーランキングを掲載しているわけではない。より高額な宣伝費用を払えば、露出を増やせるし、(TopSEOS.com自体は否定しているが)ランキングも優遇される。ちなみに多くのカテゴリ(SEO以外にもインフォグラフィックスやランディングページ最適化などビジネスカテゴリ別のランキングページが多数用意されている)に掲載しようとすると、月額15,000ドル以上もの高額な月額料金が必要となる。
こうした広告費用に基づくレイティング情報を提供するというビジネスモデル上の欠陥に加えて、その格付けを提供する TopSEOS.com 自体が不適切な SEO 施策を行うなど昔から評判は芳しくない(2000年代前半から海外SEOに精通している方であれば、TopSEOS.com については色々な評判を耳にしたことがあるだろう)。近年は元TopSEOS.com従業員が Google+ や ブログで内部事情を暴露して炎上することも少なくない。
話を本題に戻すと、先週 topseos.com ドメインが Google 検索から削除されたことが確認された。これを報じた米Search Engine Land の編集主任・Matt McGee氏によると、topseos.com と検索しても Google検索結果には1件も表示されなかった。この問題を認識した TopSEOS.com は、新しいドメイン topseosglobal.com を取得して公開したものの、これまた24時間あまりで Google インデックスから削除されてしまった。そこで同社は再びドメインを変更、topseos-global.com に移転したものの、やはり Google から削除されてしまった。
TopSEOs社のCEO・Jeev Trika氏は Search Engine Land の取材に対して「我々は Google から削除されていない。Google に直接連絡してこの問題に対処しているところだ」と回答しているが、ドメインを変更するたびに検索インデックスから削除されている事実を踏まえればサイトに何らかのガイドライン違反があったことが原因と考える方が自然だ。ただし Jeev Trika氏はドメインを変更した理由について第三者の標的にされていることを示唆したコメントもしている。
この問題が発覚したのにあわせて、同社の元従業員が送ってきたとされる内部事情を暴露したメールを Vizion Interactive が公開している。匿名の人物が送ってきたそのメールによると、TopSEOS.com は (1) 偽のレビューを掲載している、(2) 第三者のコンテンツを無断でスクレイピングしたり著作権を侵害したコンテンツを日常的に利用している、(3) ベンダーやクライアントにインタビューをしていると主張しているが、実はそうした業務をほとんど行っていないといった問題があると指摘している。
この匿名人物が指摘した内容は、あながち間違ってはいない。例えば偽のレビュー問題は、デタラメのレビューに基づいたランキングを毎月プレスリリースで発表しているととして2007年頃から多くのユーザーが批判をしてきた。最近の例を挙げると、合併後で消滅したはずの BigMouthMedia がいつまでも TopSEOS.com のランキング1位に掲載されていたケースがある。
この問題を受けて TopSEOs は10月7日から9日にかけてラスベガスで開催されていた Pubcon ブースへの出展を急遽取り止めた。
TopSEOs: “We Have Not Been Banned By Google” [Search Engine Land]
http://searchengineland.com/topseos-banned-google-205622
Breaking News: TopSEOS.com Banned in Google
http://www.vizioninteractive.com/blog/breaking-news-topseos-com-banned-google/
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TopSEOS.com は検索エンジンマーケティング関連のイベントにスポンサー出展したり、業界関連の雑誌によく広告を出しているので一度は目にしたことがある人は多いと思います。ただ、あまり評判はよくないんですよね。もっとも SEOベンダーの格付け関連会社は総じて批判の対象に晒されているのですが、TopSEOS.com は擁護できる部分が少ないというか。