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スパムリンクの制裁を受けた米Thumbtack、自然検索順位が回復 「不公平では」との不満も

Google Capital や Sequoia Capital が出資する Thumbtack が不適切な外部リンク構築施策を行っていたとして、Google から手動対策(Manual Action)による順位下落の制裁を科されたニュースが先週話題となっていたが、1週間も立たないうちに自然検索順位が元通りに戻ったことで新たな物議を醸している。

Thumbtack は結婚式のカメラマンやピアノ教師、ヨガ講師や画家といった、様々な専門分野のプロに仕事を依頼できるマーケットプレイスを提供している。同社はユーザー登録を行った専門家に対し、同社サイト内のページに指定のアンカーテキストを持つリンクを張ることで、プロファイル登録進捗のポイントを付与するというインセンティブ施策を実施していた。ところが、対価と引き換えに検索エンジン対策を強化したいキーワードを含んだリンクを求めるという行為が Google のウェブマスター向けガイドラインに抵触すると判断された。同社はリンクを対価とするインセンティブはガイドラインに違反することを明示しており、その根拠としてインセンティブ獲得目的で供与されたリンクは自然リンクではない(サイトの重要性を評価すべきシグナルとしては不適切)、全てのユーザーが自分のウェブページを保有しているわけではなく、施策自体がアンフェアであることを挙げている。過去に米Overstock.comが同様のケースで Google から制裁を受けたことがある。

Thumbtack は2015年6月9日、Google による手動対策により自然検索トラフィックが減少している問題を解決するため、登録している専門家たちに対しメールを送信し、該当のリンクをページから削除するか、そのリンクに rel=nofollow を加えて検索エンジンの評価対象外であることを明記するよう求めた。

上記のようなメールを送って1週間も経過しないうちに、Google が手動対策による制裁を解除し、自然検索順位が元通りに戻ったことが確認された。CognitiveSEOが公開したレポートによると、急速に検索順位が回復していることがわかる。

一般的に、こうした人工的に構築した外部リンクを主原因とする手動対策を受けた場合、その問題を解決して元通りに自然検索結果に掲載されるまでには数週間から数ヶ月かかることもある。Thumbtack の場合、専門家にリンクを外すか nofollow を加えるように要請するメールを送信したという適切な対処を行うという姿勢こそ見せたものの、メールを送信してわずか数日で全体のどれだけの数のリンクが削除または rel=nofollow により評価対象から外れたと言えるのか。その点において、Twitter や WebmasterForum の一部のユーザーは Google の措置をフェアではないと批判するものもいる。

cf.

The Doubtful & Ultra Fast Recovery Story

http://cognitiveseo.com/blog/8772/google-just-penalize-100m-investment-thumbtack-case-study/#the_ultra_fast_recovery

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過去のケースを見ますと、こうして表沙汰になった手動対策のケースは比較的短期間で問題解決していますよね。古くはリコーやBMWから、Overstock や TopSEOs に至るまで。 SEOsその意味で同類ケースと同じように対処しているといえばしていると言えると思います。

個人的には、スパムをしていたという事実が明らかになることで当該企業の評判には傷がつくでしょうし、そうした社会的制裁は受けるので(普通は二度と繰り返さないようにガイドラインを遵守するようになるはずでしょうから)適切なアクションさえとれば制裁は解除してあげましょうということなのかなと解釈することにしています。

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