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グーグル、インスタント検索 日本語版をリリース

グーグルが2011年4月23日からの週末にかけて、Google Instant(インスタント検索)をリリースしている模様だ。一部のPCでgoogle.co.jpでインスタント検索が有効なことを確認できたほか、TwitterやFacebookなどでも複数の報告があがっている。

グーグルインスタント検索は米国で昨年9月にリリースされた。入力された文字列からキーワードを予測して、自動的に検索結果を表示する。グーグルは、入力予測により2~5秒の時間短縮ができること、適切なキーワードを知らなくても検索できるようになること、完全にキーワードを入力しなくてもユーザが望む検索結果を提示できることをメリットとして挙げている。

インスタント検索で表示するキーワードは、単純に検索回数が高いキーワードを候補にあげるのではなく、その時点でのキーワードの人気度や最近のトレンドが加味されるほか、検索場所や過去の検索履歴なども反映される。たとえば本日(4/26)、ソニーからAndroid 3.0 搭載のタブレット端末「Sony Tablet」S1、S2が発表されたが、すでにGoogleインスタント検索の候補ワードに Sony Tablet S1/S2 といったクエリが表示される。検索トレンドを分析して、検索時点で最もユーザの興味・関心にあわせた候補を提示できるよう調整されていることがわかる。一方、アダルト系キーワードは自動的に候補から排除される。

Googleインスタント検索の導入にあわせて、検索結果下部に設けられていた検索窓は削除されている(米国同様)。

なお、インスタント検索リリース当初は、検索連動型広告やSEOなどのマーケティング施策や、ユーザの検索行動に大きな影響があるのではないかとの指摘が相次いだが、半年あまりが経過した今、結局のところ無視できるほどの軽微な影響しかなかったことが明らかになっている(Marin Softwareのように一部広告のインプレッションとコンバージョンが上昇したという紹介もあるが)。

Googleインスタント検索の機能仕様(最短の文字数で目当ての検索結果が自動的に表示されること)から、全体的な検索時のキーワード数の減少や、テールキーワードの流入数減少などの可能性が指摘されたが、それを裏付けるデータは出ていない。

今回のインスタント検索の国内リリースにおいても、米国と仕様が同じため、一部のキーワードにおいて多少のクリック率の変動は予想されるかもしれないが、総じて大した影響はないと考えられる。こうした従来の検索サービスの常識を覆すような新サービスが登場するたびにあれこれ騒ぐのがSEM業界の常であるが、適切な情報を取得・分析して冷静に判断するようにしたい。

SEMの観点からの影響について知りたい方は、Googleインスタント検索 影響あれこれFAQもあわせて参照してほしい。

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検索系エージェンシーやテクノロジーベンダー各社が様々なGoogle Instantに関連する影響調査を行っているのですが、一部のヘッドキーワードやテールキーワードでの変化や、広告のインプレッションやクリック率、コンバージョン等の一応の変化が出ているケースはあるものの、総じて、予想されたほどの影響はありません。

検索業界にいる人間から見れば(インスタントの機能はすぐに理解できるので)あれこれ影響考えてしまうものですが、一般検索ユーザはそんなに使いこなせないのです。「なんか検索結果が勝手にでるようになったな」程度に感じるくらいじゃないでしょうか。

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